サステナビリティ

東レが「イモの絞りかす」からナイロン66糸の製造技術を確立、28年度にも販売へ

東レは5月28日、タイの石化大手PTTグローバルケミカル(PTT Global Chemical、以下PTTGC)と共同で、100%バイオベースのナイロン66糸を一貫製造する技術を世界で初めて確立したと発表した。東南アジアなどで広く栽培されるイモ類「キャッサバ」のでんぷん製造時に発生する残さ廃棄物「キャッサバパルプ」を原料に用い、発酵技術で生成したムコン酸をアジピン酸へ変換し、バイオベース原料を用いたナイロン66の重合・繊維化まで成功した。重合・繊維化はまだラボレベルにとどまるものの、早ければ2028年度中に、キャッサバパルプ由来原料を100%用いたバイオベースナイロン66糸を販売する。

これまで石油を原料に製造してきたナイロン糸を、非可食で廃棄物の「キャッサバパルプ」を原料に製造する画期的な技術になる。

両社は2023年から共同開発を進めてきた。今回確立した技術では、東レがキャッサバパルプ(66トン/日)と水を原料に、グルコース糖を日産5トン製造する糖化工程を担当。PTTGCは独自菌株を用いて糖からムコン酸を高効率で発酵生産し、約50立方メートル規模へのスケールアップも確認した。その後、両社が共同でムコン酸を高純度化し、東レがバイオベースアジピン酸への変換、さらにバイオベース原料を用いたナイロン66の重合と繊維化までをラボスケールで実証した。

ナイロン66は、糸や樹脂の形態で自動車や産業資材、衣料用途などで広く使われる汎用素材だが、従来は石油由来原料への依存度が高かった。

また、タイはキャッサバ芋の生産量が世界3位、アジア1位で、年間生産量は3000万トンに達する。そのため大量に発生する残さの有効活用が求められていた。今回の技術では、食料用途と競合しない未利用バイオマスを活用することで、温室効果ガス排出削減や化石資源依存の低減に加え、農地拡大に伴うILUC(間接的土地利用変化)リスクの抑制にもつながるとしている。

今後はムコン酸とアジピン酸の量産技術確立やコスト低減を進め、早ければ28年度にも100%バイオベースナイロン66糸や繊維製品の販売を目指す。

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