ユナイテッドアローズが転換期を迎えている。同社は今年10月1日付で社名をTABAYAホールディングスへと変更し、「日本が誇る世界に向けた高感度・高付加価値グループ」を目指す。アパレルを中核に据えながらも、衣食住をカバーするライフスタイルグループへと事業領域を広げる方針だ。松崎善則社長は、同社の強みを「時代対応力」だと強調する。“らしさ”や定義にとらわれない、攻めの柔軟性こそ、変化の時代を生き抜く同社の生存戦略だ。
TABAYAが挑むライフスタイル企業への転換
WWD:「TABAYA ホールディングス」への商号変更の意図は?
松崎善則社長(以下、松崎):ホールディングス(持株会社)化の1番の狙いは、事業の多角化を加速させることだ。前中期経営計画でも非アパレル領域もカバーしていく方針を出していたが、その時点で「ユナイテッドアローズ」の名前だけでは難しいと感じていた。事業名と社名が重複していると、どうしても議論が「ユナイテッドアローズ」らしさに終始してしまう。こだわりは大切だが、今後は従来の“らしさ”にとどまらない領域にも視野を広げたい。今後見据えているのは、グローバル市場だ。「TABAYA(束矢)」という日本語由来の名称が、私たちのアイデンティティーを表現する上で非常にしっくりきた。
WWD:TABAYAは、「高感度・高付加価値ライフスタイルグループ」を掲げて衣食住へと業容拡大していく。
松崎:ライフスタイルの中心には当然ファッションがある。しかし、「ファッション=アパレル」という狭い定義に縛られたくない。例えば、旅行の際に「どこに泊まろうかな」「何を食べようかな」「何を着ていこうかな」と考える。そうして整理していくと、“ライフスタイル” の具体的な中身が見えてくる。特にまだ着手できていない食の分野は、非常にポテンシャルを感じている。
M&Aでポートフォリオを拡充
高感度の本質は「時代対応力」
WWD:今年1月には日本のデザイナーズブランド、「テルマ(TELMA)」の事業を取得した。7月には、春髙未欧が手掛けるジュエリーブランド「ビジュードエム(BIJOU DE M)」を子会社化する。ファッション領域に関しては日本のデザイナーズブランドを支援していく考えなのか?
松崎:当社が出来ることはわきまえた上で、シナジーを見据えて積極的に検討したい。「テルマ」は日本の伝統技術を生かしたモノ作りの背景を含め、価値観が非常にフィットした。中島輝道デザイナーとは頻繁に会話しているが、彼はデザイナーであり経営者。ブランドを創作活動ではなく、商業活動だと捉えている。そうしたお互いの目線が合うかどうかも重要だ。「ビジュードエム」に関しても、未欧さんは世界的な知名度を持つジュエリーデザイナーであり、彼女の個性がブランドの魅力につながっている。国内外での卸展開の可能性をかなり秘めている点も大きかった。いずれにせよ最も重要なのは、それが「高感度・高付加価値の事業かどうか」だ。
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