
デジタルとAIがファッションを席巻する時代にあっても、人の手が生む温かみの価値は揺るがない。布を織り、染め、刺しゅうを施す過程で宿る偶然性や個体差は、技術が進化しても代替できない領域だ。その事実をデザイナーらは今回の東コレで鮮明に示した。伝統工芸やデニム加工、ダメージ表現を通じて、経年変化を新鮮に見せるブランド、あるいは数十種の素材を縫い合わせながらAIにはたどり着けないクラフト感を表現するブランド。共通するのは、手仕事が生む不完全さを魅力と捉えるまなざしだ。AIに負けない目利きと技術力を武器に、東京発のクリエイションは職人技に裏打ちされたラグジュアリーとして存在感を示している。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月15日号からの抜粋です)
「ファンダメンタル(FDMTL)」
DESIGNER/津吉学
2005年の立ち上げ以来、経年変化に魅了され、インディゴやデニムを主役に“着るほど愛着の湧くプロダクト”を提案してきた。今季はジャケットやジーンズを上下反転や解体で再構築するなど、ユニークなアプローチを模索。デザイナーが収集するボロ布からの着想は、精緻なダメージ加工やメッシュ地への転写プリントで幅広く表現し、細部にこだわったタイダイのスエットパーカも存在感を放った。変化を楽しむ姿勢がインディゴの可能性を広げている。
「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」
DESIGNER/ヴィヴィアーノ・スー(Viviano Sue)

“人の手による個体差に
静かな反骨心を宿す”
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