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特集 東コレ2026年春夏 第5回 / 全8回

【26年春夏東コレ】バックステージに潜入! ショーを支えるヘアメイクに迫る

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【26年春夏東コレ】バックステージに潜入! ショーを支えるヘアメイクに迫る

コレクション当日の熱気に包まれたバックステージ。モデル一人一人に施されたヘアとメイクには、デザイナーの思いをくんだプロフェッショナルたちの表現が込められている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月15日号からの抜粋です)

「フェティコ」

“違い”が自立した女性像に

ルックで際立っていたのは多彩なリップの表情だ。青みやバイオレットを含むダークトーンを軸にトーンを衣装に合わせて振り分け、潔くリップを引かない選択をしたモデルも。眉もブリーチや1920年代を思わせる細眉で軽やかさを取り入れた。ヘアはムードボードから導かれた「はかなさ」「緊張感」を軸に構築。耳を覆うクラシカルなタイトヘアから、あえて崩したラフな質感まで幅を持たせ、不安定さを美学として残した。はかない少女的なキャラクターの隣に強い存在感を放つモデルを並べるなど、飛び道具的な“ランダムさ”も意図的に投入。モデルそれぞれの素の個性を尊重することで、「フェティコ(FETICO)」の描く女性像に無理のない説得力を生んだ。

Key Item

comment:
HAIR STYLIST 森岡祐介

HAIR STYLIST 森岡祐介

ムードボードからはかなさや緊張感を受け取った。整えるよりも少し崩すことで、緊張感の中に人間らしさや温度が立ち上がる。完璧な均一感ではなく、モデルそれぞれの個性が持つ“揺らぎ”を残すことが「フェティコ」の描く女性像には欠かせないと考えた。

comment:
MAKEUP ARTIST 白石理絵

MAKEUP ARTIST 白石理絵

今回は多彩なキャラクターがいる方が合うと思った。リップを主役に置きつつ、あえて塗らない選択も含めて、個性や衣装に響く形を探った。そういった差異が一人一人を自立した存在として立ち上げる。ブランドが持つ強さやクールさはリップの冷たい青みで表した。

news:
「スリー」が香りを演出

今回の「フェティコ」のショーでは「スリー」がバックステージでのメイクアップ製品の提供やショーメイクアップチームのサポートなどを実施した。さらに舟山瑛美デザイナーのディレクションのもと、「スリー」の調香師が“エッセンシャルセンツ R 04”をベースに調香した香りが会場を包み、ブランドの世界観を際立たせた。

「ヴィヴィアーノ」

“違和感”で作るクラシック

クラシック表現もそれだけで終わらせないのが「ヴィヴィアーノ(VIVIANO)」のヘアメイクチーム。粗さを残すための逆毛や「ショー中に光ってもいい」とあえて表面に見せるピンで、クラシックな夜会巻きのなかにもパンキッシュな違和感を生み出した。そして何より、ギザギザと切り込んだ短い前髪を意図的なエッジとして仕掛け、ブランドらしい遊び心を表現した。ヘアに負けじと、メイクは真っ赤なリップと「ダマを残してもいい」ほどバサっと仕上げたまつげで強さを際立たせた。眉毛を消すか自眉を生かすか、カチューシャや眼鏡を誰につけるか、ウィッグのレングスなどはショー当日に調整。そのライブ感や躍動も「ヴィヴィアーノ」にしかない雰囲気を作り出す。

Key Item

comment:
ASASHI HAIR STYLIST

ASASHI HAIR STYLIST

「クラシック」と聞いたとき、ただきれいにまとめるだけではブランドらしさが出ないと思った。そこでザクザクに切った黒い前髪を加え、パンキッシュな違和感を入れた。その不調和がモデルの存在感を強調し、モノトーンの服と呼応して全体に力を添えると考えた。

comment:
MAKEUP ARTIST Asami Taguchi

MAKEUP ARTIST Asami Taguchi

暗闇のショー会場に強い赤リップを差し込むのが一番ロマンチックだと思った。「M・A・C」の“ルビーウー”を選んだのは、私自身ずっと愛用してきた色で絶対に強さが出ると確信していたから。ヘアで崩した分、メイクはクラシックを貫く。その対比が“らしい”と思った。

「ツモリチサト」

生きとし生けるものへの感謝

ブランド設立35周年の「ツモリチサト(TSUMORI CHISATO)」は、「35年分の感謝」がテーマ。ハートのモチーフとシニョンは、津森千里デザイナーからのリクエストだったという。メイクを担当したuchiideは、「地球や宇宙のコンセプトを聞き、レトロサイファイ(過去の人々が思い描いていた未来像)が思い浮かんだ。顔に施したハートは、津森さんから感謝のラブと、レトロサイファイをイメージする宇宙人っぽさを掛け合わせたデザイン。優しい色味だけどカラフルに見えるようなコレクションだったので、メイクでも色のバランスを意識した」と述べる。ヘアを手掛けたTAKÈによれば、「シニョンは丸っこいシルエットにこだわり、地球を表現した」。印象的なヘアとポップなメイクで、優しくてかわいらしいムードに仕上げた。

Key Item

comment:
HAIR STYLIST TAKÈ/DADACuBiC@3rd

HAIR STYLIST TAKÈ

ショートからロングまでさまざまな髪形のモデルをシニョンに仕上げるために、エクステを使用。扇形にならないよう、コンパクトできれいな球体を目指した。「アヴェダ(AVEDA)」のミストは、モデルの髪を重力に逆らって固めるのに活用した。

comment:
MAKEUP ARTIST uchiide/シュウ ウエムラ

MAKEUP ARTIST uchiide/シュウ ウエムラ

肌はセミマットで上品な印象に仕上げ、レトロサイファイのイメージで眉を消した。アイシャドウは、コレクションから着想を得てピンクとペールブルー、イエローを採用。まぶた全体に塗るのではなく、グラフィックのようなアクセントを加えた。

「ヨシオクボ」

レッドブルカラーのアクセント

ヨシオクボ(YOSHIOKUBO)」は、世界最大規模のブレイキンソロバトル「レッドブルビーシーワン(Red Bull BC One)」とコラボレーションした。舞台に登場する「動的」なダンスとランウエイのコントラストが出るように、ヘアメイクは全体を通して「静的」を表現。ヘアメイクをリードした新城輝晶は、これまでに何度も同ブランドのショーのバックステージを担当してきた。方向性について、「前季は、男性はスリックバック、女性はウエットな質感でそろえたので、『今回は違う方向性にしたい』と久保(嘉男)さんからリクエストされた。ヘアはシャープさや柔らかさを残しつつ、ショーらしい見え方や上品さを意識。『スポーティー』や『ダンス』がキーワードにある中で、チープな印象は避け、アイメイクでアクセントを加えた」とコメントした。

Key Item

comment:
HAIR&MAKEUP ARTIST 新城輝晶/資生堂

HAIR&MAKEUP ARTIST 新城輝晶/資生堂

男性はクリーンでタイトに、女性は髪の長いモデルもいるので、柔らかなまとまりのあるスタイルに仕上げた。目指す仕上がりやモデルの髪質に合わせて、目の粗さが異なるコームを使用した。

目元はシルバーをベースに、レッドブルのキーカラーである赤青黄を施しキャッチーさを加えた。色味はレッドブルの缶から着想を得た。軽さを感じさせるシアーな肌作りは、東京の今のトレンドとも連動している。

PHOTOS : KAITO CHIBA (PILLINGS), RYAN CHAN (YOSHIOKUBO BACKSTAGE), KO TSUCHIYA (CHIKA KISADA BACKSTAGE, FETICO BACKSTAGE, YOSHIOKUBO), SEIGO ISHIZAKA (FETICO, HARUNOBUMURATA, MUKCYEN)

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