「プーマ(PUMA)」を運営するプーマ ジャパンは5月28日、エリートランナー向けのランニングシューズ“ファスト アール ニトロ エリート 3(FAST-R NITRO ELITE 3)”(3万8500円)を本格発売した。“ブランド史上最速”をうたい、前モデルから95グラム軽量化、片足170グラム(27.0センチ)を実現した。ランニングエコノミーは前モデルから「3.15%向上した」(発表リリースから)という。
ランニングエコノミーとは、「一定のスピードで走行した際に、どれだけ少ない酸素量で走れるかを示す指標であり、効率が良いほど長距離レースにおける持久力や記録向上に直結する」。そう説明されてもなかなかイメージが湧きづらいが、「ランニングエコノミーが3.15%向上すると、フルマラソンを3時間で走る人にとって、最大4分30秒以上のタイム短縮につながる。競合ブランドのトップレーシングモデルと比べても、高いランニングエコノミーが出せるという自信がある」と、説明会に登壇したプーマ ジャパン担当者は話す。
二層構造のミッドソールに新開発したフォーム“ニトロフォーム エリート”を採用し、さらなるクッション性と反発力を実現。独自形状のカーボンプレート“パワープレート”で推進力とエネルギー効率をサポートする。アッパー素材には、「プーマ」のサッカースパイクなどでも採用している“ウルトラウィーブ”を使って、軽量化につなげた。推奨使用距離は300キロメートル。軽さを追求した結果、推奨距離はフルマラソン1回分というケースもある競合ブランドに対し、丈夫と言える作りだ。
次はファンランナーにも
ブランドを拡大
開発競争がますます激化しているランニングシューズの世界で、軽量化はいま最もホットなトピックスだ。2024年の国内外の有力マラソン大会や駅伝を席巻した「アディダス(ADIDAS)」の最新モデル(8万2500円)は138グラムで、「アシックス(ASICS)」が5月に公開したモデル(3万3000円)は129グラムとさらに軽い。ただ、軽さの追求と走行時の安定性は両立が難しく、そのバランスをどう実現するかに、ブランドそれぞれの考え方やR&Dの粋が詰まっている。
各社のシューズ開発に詳しく、ランニングシューズ選びのコンサルタントやランニングコーチなどを行っている藤原岳久FS☆ランニング代表いわく、「ナイキが17年に発売し、厚底カーボンシューズ時代到来のきっかけとなった“ズーム ヴェイパーフライ 4%”は、ナイキの当時のレーシングシューズとの比較で、ランニングエコノミーが平均4%向上するということでその名前が付いた。“ファスト アール ニトロ エリート 3”は、既にランニングエコノミーが高まっていた前モデルからの比較で3.15%の向上。これは大きな数字と率直に感じた」とコメント。
競合に比べると、「プーマ」はランニングにおいてはまだまだイメージが薄い。21年以降、グローバルでランニングカテゴリーの最強化を進めてきたことで、「トップモデルについてはアスリートやエリートランナーから支持を集め始めている。ここから、ファンランナーにも支持を広げられるポテンシャルがある」と、プーマ ジャパン担当者は話す。ファンランナー向けシューズの新モデルを今後発売すると共に、ランニング専門店などでの試着イベントにも引き続き注力し、24年に始めた横浜マラソンへの協賛も継続する。「地道にランナーにブランドを届けていくよう努める」。