アクティブウエアブランド「クロノス(CRONOS)」は5月31日、東京・表参道に初の旗艦店をオープンした。フィットネスを起点に、機能性とファッション性を兼ね備えたアスレジャー分野で存在感を高めている。
「クロノス」は、全国約150店舗のフィットネスジム「ビヨンド(BEYOND)」をフランチャイズ展開するワールドフィットが、2018年に立ち上げた。スタート当初は日本のトップボディビルダーをサポートしながら、筋力トレーニングに真剣に取り組む層に向けた高機能なフィットネスウエアを中心に展開していた。ブランド認知の拡大を図る中で、2年目以降には、元格闘家の魔裟斗氏や元プロ野球選手の糸井嘉男氏をアンバサダーに起用。さらに俳優やインフルエンサーを巻き込みながら、一般層や女性ユーザーへの浸透も図ってきた。
出店も並行して加速し、フィットネスジムの運営で培ってきたノウハウを生かしながら、24年には札幌、沖縄、広島、神戸などに計11店舗をフランチャイズで新規オープン。現在は全国に20店舗を構える。アスリート向けに特化したウエアにとどまらず、日常でも着用できるタウンユース仕様のアスレジャーへと展開を広げ、過去4年間でブランド規模は約4倍に成長したという。
今回オープンした表参道の旗艦店は、同エリアのメインストリートに面した約200平方メートルの2フロア構成。メンズおよびウィメンズのアクティビティウエアに加え、タレントのユージ氏がディレクターを務めるゴルフライン「クロノス・ブラック(CRONOS BLACK)」を取り扱う。高品質なストレッチ素材と丁寧な縫製に加え、速乾性や通気性といった機能性にもこだわり、Tシャツは1万円台、フーディーは1万8000〜2万円台、パンツは1万6000〜1万8000円台が中心価格帯となる。
25年中にさらに10店以上を出店
空間演出にも力を入れており、ウィンドーには錯視技術を応用した大型LEDウォールを設置。オープン前は“眠るマネキン”、オープン後はカポエラ選手やプロダンサーの動きを再現した“動くマネキン”が登場し、来店客を迎える。また、店内にはブランドのキーカラーであるイエローを随所に配し、階段や什器には近未来的な光の演出を導入。大理石の柱にスピーカーを組み込むなど、五感を刺激するような仕掛けを取り入れた空間で、ブランドの世界観を体感できる仕様となっている。今後は、プロアスリートやアンバサダーを招いたミート&グリートやフィットネスイベントも予定しており、店舗を販売拠点にとどまらないコミュニティーの場として活用していく方針だ。
ワールドフィットの林哲也・執行役員 アスレジャー事業本部本部長は「『クロノス』というブランドをより多くの方々に知ってもらうため、ファッションの発信地である表参道を選んだ。インバウンド需要の高まりもあり、国内だけでなく海外への発信力にも期待している」と語る。続けて、「海外では、ブラトップやレギンスといったアイテムを日常的に取り入れるスタイルがすでに定着しており、『クロノス』の提案するスタイリングも、グローバル市場で受け入れられる可能性が高い。今回の旗艦店をその第一歩と捉えている」と、海外展開への意欲を示す。さらに、「アウトドアやスポーツ、フィットネスといった機能性アパレルの分野は、現在のアパレル業界の中でも特に成長が期待されている。『クロノス』も、その先頭を走る存在を目指したい」と今後の展望を明かした。
国内市場においては、25年中にさらに10店舗以上の出店を計画しており、西日本での旗艦店オープンも視野に入れる。販売網の拡充と認知度の向上を通じ、全国規模でのブランド強化を進めていく方針だ。
なお、グランドオープンに先立ち、5月28日から3日間にわたり開催したオープニングイベントには、ブランドと関係の深いゴルファーや格闘家などのアスリート、セレブリティーらが来場し、ブランドの新たな門出を祝った。