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オンワードが“二季”&“シーズンレス”戦略を強化 気象・気温軸でMDを再構築

オンワード樫山は2025年春夏から、これまで取り組んできた“シーズンレス”商品を強化し、“二季”構成によるMD改革を本格的に進める。従来は5〜6月の夏、7〜8月の盛夏、9〜11月の秋、12〜1月の冬、2〜4月の春と5シーズンを基準していたが、変動する気温と気象のデータをもとに、4月からの“長く暑い夏・短い秋”と12月からの“遅く寒い冬・寒い春”の二季化に再構成。加えて、年間を通して着用できるシーズンレスアイテムの拡充を図る。

4月初旬〜6月の“前倒しの夏”は、体温調整可能な羽織りものやトップス、機能性のあるアイテム、サングラスや日傘といった雑貨を展開。7月以降の“猛暑の長い夏”では、トレンド性の高い新作を中心に品ぞろえを強化する。9月後半からの“暑い秋”には、夏らしいデザインを加えた秋素材や色の商品に加え、シーズンレス向けの商品を追加。その後、寒暖差のある11月末までは、単品で着回せるトップスやボトムスを強化し、軽量アウターの投入もスタートする。12月以降の冬物は、ニットを短期的にそろえながら、防寒アウターは従来よりも後ろ倒しで販売をしていく計画だ。

「23区」はサマーニットを拡充、「アンフィーロ」は東レと機能素材開発

また今月から、「暑さを、味方に。」と題した全社のシーズンレスプロモーションを実施。機能素材のアイテムなどを主力ブランドごとに打ち出していく。「ニジュウサンク(23区)」は、幅広く着回ししやすいアイテムとニュアンスカラーのバリエーションを拡充し、長い夏のスタイルのマンネリ化を回避するMDを強化。主力とするのは、昨年好評だったサマーニット。アイテムのバリエーションを増やし、前年比約3倍の数を投入する。程よい透け感と光沢感を両立させた“シャイニーシアーニット”は、カーディガンと合わせられるインナー、1枚でも着映えするプルオーバー、涼しげな印象のスカートなど、セットアップ対応も意識したラインアップを強化する。

アンフィーロ(UNFILO)」は、東レと共同開発したオリジナル素材“ブリーズムーブ(BREEZEMOVE)”を用いたブラウス2型とワンピースを展開。高い通気性と吸水・速乾性を兼ね備えた東レの“ブリーズクール”糸を使用した素材で、風通しの良さを強みに、汗をかいても肌に密着することなく、快適性を維持する。実証実験では皮膚表面温度を約1度下げる効果も確認されていて、ブランドのデザイン力と兼備した“機能美”を発信していく。

「着心地まで、デザインする。」を新たな企業メッセージに

オンワードは今回のMD改革に合わせて、新たなプロダクトメッセージ「着心地まで、デザインする。」を掲げた。これは、同社が100年継承してきた商品開発の技術力やサステナブルの考えに、快適さを考えた機能的価値、SDGsにもつながる社会的価値を“着心地まで”という言葉に、ブランドの独自性を“デザインする”にそれぞれ込めている。今後、全ブランドにおける商品開発の指針としても、お客さまに向けたメッセージとして浸透させていく考えだ。

山﨑圭子マーケティンググループ執行役員は、「今夏は、湿度が高く不快感の強い前半は機能性、本格的な暑さが予想される後半は、ファッション性の高いものを打ち出していく。われわれは素材やパターンの技術だけでなく、機能素材の開発力やトレンド力にも自信がある。他社との差別化を図り、相乗効果を狙っていきたい」と話した。

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