ファーストリテイリンググループの「プラステ(PLST)」は、2025年春夏シーズンに向けた新商品とともに、気候の変化を見据えた“シン・クールビズスタイル”を発表した。21日の発表会には、ブランドミューズの桐谷美玲が1日人事部長として、元サッカー日本代表の内田篤人が1日人事課長として登壇。それぞれが新作スタイルを着用し、リアルなオフィスファッションの在り方を提案した。
延長化するクールビズ。“春夏夏秋冬”時代の声に応える新提案
クールビズのスタートから20年。「プラステ」は20〜59歳の働く男女500人を対象に夏のオフィスファッションに関する意識調査を実施した。その結果、約半数が「夏が長引いている」と実感しており、クールビズの着用期間も6〜9月の枠を超えて広がっていることがわかった。また、約9割が「現代の気候に合わせて服装規定も見直すべき」と回答。こうした声に応えるべく、“春夏夏秋冬”の五季を見据え、カジュアルダウンときれい見えを両立させた「プラステ」独自の“シン・クールビズスタイル”を発表した。
全て接触冷感機能付きでウオッシャブル素材のアイテムもそろえた「プラステ クール」から、ウィメンズは半袖のジャケットやカーディガン、デザインにひねりを加えた高機能Tシャツなどの新商品を発表。“UVカットレーヨンブレンド半袖カーディガン”(8990円)と“プレミアムオックス ハーフスリーブジャケット”(1万9000円)といった、単品でも主役になるアイテムをそろえた。また、大ぶりの袖が印象的な “ハンカチーフスリーブTシャツ”(5990円)は、風通しの良さと上品なシルエットを兼ね備えつつ、オフィスシーンでの着用も提案する。半袖カーディガンを着用した桐谷は、「なめらかな肌触りと軽い着心地、きちんと感もあるので、オフィスでも重宝するだろう」とコメント。
メンズは、凹凸のある肌離れの良い“マイクロサッカー”素材を用いたジャケット(2万1000円)とパンツ(1万2000円)を新たに投入。裏地のない軽やかな設計で、移動中にバッグに入れてもシワになりにくい、使いやすさがポイントだ。また軽さと伸縮性にすぐれた超軽量素材“プレシャスドライ”を用いたジャケット(1万9000円)は、カジュアルダウンできるきれいめアイテムとして提案。内田は、XXLサイズを加えた“ウォッシャブルニットTシャツ”(6990円)との着こなしを披露し、「移動から会食に向かうことも多く、だらしなく見えないTシャツと僕にも動きやすいジャケットが頼りになる」と語った。
「ユニクロ」シナジーで業績回復も、出店戦略は慎重に
「プラステ」は事業の採算性を見直し、23年秋から単独店の大幅閉店に踏み切り、「ユニクロ(UNIQLO)」店舗内へのショップ・イン・ショップや同フロア内の出店といった売り場改革を進めてきた。これにより、「ユニクロ」来店客の流入を促し「プラステ」の知名度も向上した。直近の25年8月期第2四半期決算では、戦略的な在庫管理や店舗オペレーションの改革が奏功し、増収・営業黒字を達成。今年3月には、「ユニクロ」店内出店11店舗目となる玉川髙島屋 S・C 南館4階にウィメンズとメンズの複合店「タマタカ」店をオープンした。ブランド最大級の品ぞろえと骨格診断アドバイザーを持つスタッフによる接客が好評で、順調に推移しているという。4月24日には名古屋の「mozoワンダーシティ」で「ユニクロ」の隣区画に移転オープンした。
1年半におよぶ事業転換の改革を経て、伊藤なつきプラステ マーケティング部長は、消費者ニーズに新たな発見があったという。「『プラステ』の価格帯は『ユニクロ』の2〜3倍で、ファーストリテイリングでも中価格帯に位置する。そのため両者のニーズは異なると分析していたが、実際には『ユニクロ』の幅広い層のお客さまにも『プラステ』の価格やクオリティーへの理解をいただき、ニーズがあると実感した。この成果は今後の新規顧客獲得への重要なヒントだと捉えており、商品や店舗の開発にしっかり反映していきたい」と話した。20年8月末に102あった店舗は、現在「タマタカ」店を含め41。今後は「ユニクロ」との差別化や相乗効果を模索しつつ、単独出店は慎重に進める方針だ。