PROFILE: リシャール・コラス/TASAKIホールディングス取締役 兼 代表執行役社長 グローバルCEO

日本のジュエリーブランド「タサキ」を擁するTASAKIホールディングス(本社:兵庫県神戸市)は、3月16日付けでグループの経営体制を変更した。新しい経営トップは、「シャネル」の日本法人を長らくけん引したリシャール・コラス取締役 兼 代表執行役社長 グローバルCEO。田島寿一・代表執行役社長 CEOは、代表権のない会長となった。また日本におけるブランドビジネスを担うTASAKIのトップには4月1日付で、フェラガモ・ジャパンでトップを務めている小田切賢太郎・代表取締役CEOが就任する。パリのヴァンドーム広場に程近く「カルティエ」も本店を構えるラペ通りの旗艦店オープンを控える「タサキ」にとって、「シャネル」で長らく活躍したコラス社長をトップに迎えたのは理にかなっているが、数年ぶりの第一線復帰に驚いている業界人は多い。果たしてコラス社長は、なぜラグジュアリーの最前線に、しかも日本ブランドのトップとして戻ってきたのだろうか?社長に就任した当日、直撃した。(編集長 村上要)
WWD:今回、TASAKIホールディングスのトップを引き受けた理由は?
リシャール・コラス=TASAKIホールディングス取締役 兼 代表執行役社長 グローバルCEO(以下、コラス社長):昨年の12月ごろ、知人を介して、この仕事の紹介を受けた。創業一家とは食事をしたこともあり、仲良くさせていただいた。ブランドも旧知の存在で、日本では長らく存在感を発揮しているイメージ。叔父がオークラ東京で「タサキ」の真珠を扱っていたから、18歳のころから知っている。この会社は、パールファーム(真珠の養殖場)から、製造・販売に至るまで、“宝物”がいろいろある会社。投資会社(TASAKIは2017年、アジア系の投資ファンドのMBKパートナーズに315億円で買収され、上場を廃止。昨年には、アジアが拠点の投資企業ファウンテンベスト・パートナーズと日本の投資企業ユニゾン・キャピタルが買収した。買収価格は1000億円と見られている)との仕事は未経験だが、両社ともTASAKIへのリスペクトがあり、「この人たちとなら一緒に仕事ができる」と思った。共に根幹には「ブランドをエレベーションしたい。『タサキ』を日本で最初のインターナショナル・ラグジュアリー・ブランドにしたい」という思いがある。
WWD:日本法人を率いたあとは、スイスで「シャネル」のトラベル・リテール事業責任者に。その後は、イオンの社外取締役を務めている。
コラス社長:シャネルで働いて40年、スイス・ジュネーブに移る際に百貨店などのあいさつ回りをしていた中で、イオンの岡田元也・取締役 兼 代表執行役会長に「取締役会に入ってくれないか?」とのお誘いをいただいた。シャネルとイオンは全く違う業界に身を置いているが、岡田さんの考え方やビジョンは尊敬している。「シャネル」での経験が長かったから、最初は「ディスカウントなんてあり得ない!」とも思ったが(笑)、多くを学び、良い経験になっている。イオンでの仕事は、今後も継続する。妻は、私のことをマグロと例える(笑)。寝る時も泳いでいるマグロのように、イオンでもこれからも自分のアイデアなどを出していきたい。
WWD:率直に現在の「タサキ」をどう捉えている?
コラス社長:ビジネスの大半は、日本市場とインバウンド。中国での知名度は高いが、(今は現地のマーケットが軟調だから)日本のお客さまとのビジネスで頑張っている。日本のブランドとして誇らしいが、一方で私には“ヨーロッパ・コンプレックス”があるように見える。特に広告などで発信するイメージや売り場は、外資系ラグジュアリーに影響されている印象だ。私の仕事は、「タサキ」で日本のブランドであることの誇りを表現すること。売り場、広告・宣伝やPRを含めて、「和」がすごく重要だ。例えば販売スタッフは素晴らしい人たちばかりだが、彼らのユニホームなどは考え直しても良いだろう。
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