ファーストリテイリンググループの「プラステ(PLST)」は、村田晴信デザイナーが手掛けるウィメンズブランド「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」とのコレクションを発表した。「プラステ」にとって初のデザイナー起用のコレクションとなり、村田デザイナーにとっても初めての企業と協業した商品となる。
素材を軸にした4シリーズ、全10型がラインアップ
コレクションは、4つの素材を軸に構成したワンピースやジャケット、パンツ、ニットなど全10型を用意する。光沢感と落ち感のある「トリアセテート・サテン」は、オーバーサイズのジャケット(1万9000円)とイージーパンツ(1万5000円)、ドレープが特徴のノースリーブブラウス(9900円)をラインアップ。シアー感が涼しげなサマーウールを使った「ウールブレンド」は、ジャケット(3万3000円)とパンツ(1万7000円)をそろえ、どちらもアンサブルやセットアップでの着こなしが可能だ。
タイプライター素材にビンテージ加工を施し、ナチュラルな風合いに仕上げた「コットン・ブレンド」は、半袖シャツ(1万2000円)とスカート(1万5000円)、ワンピース(2万3000円)の3型を展開。ハリのある素材を生かし、ふんわりとしたシルエットで女性らしさと、サイドポケットをつけて実用性を両立させている。また、リブ編みと天竺編みを組み合わせた上品な質感の「シアーニット」は、レイヤード風のプルオーバー(1万3000円)とスカート(同)を用意。秋口まで着られる薄手のニットは肌触りの良さにもこだわった。価格帯は9900〜3万3000円と従来の商品に比べ、2割ほど高めに設定。5月23日から、「プラステ」全14店舗とオンラインストア(9時15分〜)で販売する。
村田「ファッションというインフラを強固にする存在にしたい」
「プラステ」の主力とするパンツを軸にしたスマートなオフィスカジュアルのスタイルに、「リゾート地の心地よい雰囲気を日常に持ち帰るような、リラックス感のある都会的なコレクションにした」と村田デザイナー。「少し緊張感のあるオフィスシーンに、ファッションを通して自然の心地良さを感じることが、新しい『プラステ』らしさにつながるんじゃないかと考えた。『ハルノブムラタ』にとって他ブランドと協業したコレクションは初めてだが、クリエイティブの新しい形を経験する機会になった」。
今回の協業にあたり、村田デザイナーが掲げたのは“ラグジュアリーの民主化”だ。「ファーストリテイリングの大規模なプラットフォーム、そして日常着の概念に触れながら、『ハルノブムラタ』で探求してきた“日常の中のラグジュアリー”をより多くの人に届けられるよう、“民主化”したいと思い、オファーを受けた。今回のコレクションで、『プラステ』をファッションというインフラをより強固にする存在へと進化させるきっかけにできたらいい。僕自身にとっても、クリエイティブの再定義につながるプロジェクトになったと感じている」と話した。
テコ入れ中の「プラステ」、事業拡大の次なるステップへ
2023年秋以降、「プラステ」は「ユニクロ(UNIQLO)」店内への出店を戦略化し、事業転換を模索してきた。初の試みとなった今回のデザイナーコラボは、新規顧客の開拓やグローバル展開への次なるステップに期待している。MD部R&D部生産部の齋藤源太郎部長は、「村田さんのインスピレーションをベースに、『プラステ』の『きちんとしていたい時の“毎日服”』というコンセプトを掛け合わせ、実用性とデザイン性の両立を図った。特に、洗濯機で洗えるポリエステル混の『コットン・ブレンド』のシャツや、夏でも快適な『ウールブレンド』のスーツは、素材を生かしたシルエットや上品な色使いがブランドの新たな価値につながるだろう」と期待する。なお、コレクションの次シーズン以降の継続は未定としつつ、「前向きに検討したい」と話す。