
長引く残暑と暖冬は、各社の秋冬の戦い方をどのように変えるのか。「WWDJAPAN」は9~12月における商品企画や投入スケジュールについて、17ブランド・業態にヒアリングした。厚手のウールコートやニットなど、これまでの主役アイテムに頼り切りとはいかなくなり、各社は実需に合わせた商品企画やMDカレンダーに修正している。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月19日号からの抜粋です)
今秋冬の全体傾向はコレ!
POINT1:商品投入スケジュールはおしなべて1~2カ月程度後ろ倒しの傾向
POINT2:9月までは夏素材かつ秋気分のデザインが主軸
POINT3:10月以降はレイヤードの工夫で長く着られる中間アウターを中心に構築
POINT4:ウールコートは各社とも減産傾向にあり、11~12月の短期間で勝負
9月/“夏の延長戦”と考えるべし!
今すぐ着られる、に秋気分をプラス
31.2 ℃
2023年の月平均最高気温
(気象庁調べ)
9月は気分は秋を先取りしたいものの、平均最高気温は30度を超え、連日の真夏日が予想される。「夏の延長戦」に備えて、半袖トップスや薄手のワンピースなどの夏物を継続しつつ、秋を感じさせる色柄を乗せて鮮度を出す。
オンワード樫山の「ニジュウサンク(23区)」は、夏のMDの商品量を前年比約1.5倍に増やした。「1枚で着映えするトップスやビスチェ、光沢のあるスカートなどコーディネートのアクセントになるアイテムに注力する」。そのほか、「昨年は8月末まで半袖ワンピースが売り上げをけん引。今年も秋色の半袖ワンピースを充実させる」(レディアゼル)、「9月下旬まで半袖トップスを展開する」(フリークス ストア)といった声が上がり、各社の残暑に対する意識は高い。
「今すぐ着られる」をうたい文句にしながら、店頭は秋冬に向けてグラデーションさせていく必要がある。高気温なうちでも、バッグやアクセサリーなどの雑貨であれば、VMDに秋の気分をトッピングできる。
ブランドの戦略は?
「ジレワンピやキャミワンピは暑い時期は1枚で、涼しくなったらインナーに重ねて長い期間着用できる点をアピールする。インナーもチュールやレース、リブニットなどバリエーションを強化する」―「レディアゼル(REDYAZEL)」
「布帛ブラウスやシャツのバリエーションに厚みを持たせる。薄手でも秋を感じられるようなファブリックやカラーを意識する」―「ミラ オーウェン(MILA OWEN)」
「従来は9月になると長袖中心だったが、半袖の羽織りアイテムに注力する」―「インディヴィ(INDIVI)」
「気温に左右されない雑貨(主にスニーカー)、秋色の実需素材トップスなどを強化する」―「シップス(SHIPS)」
「実需期前の8~9月にカシミヤ、アルパカなどの高級素材アウターをあえて少量販売。希少性を価値にする」―「エストネーション(ESTNATION)」
「カットソーや薄手アイテムの展開継続に加え、カーディガンなどの羽織りアイテムの打ち出しを強化」―「ドレステリア(DRESSTERIOR)」
「9月上旬は強撚ウールモヘア、細番手強撚ウールのブラウスとスカート、極細番手ウールニットなどを投入。下旬は軽量の非ウールニットのブルゾンやコート、ダンボール素材のフーディを売る。月内に行うオーダーレセプションでは、コート、ブルゾンなどを先行受注する」―「ロペ(ROPE)」
10月/秋冬の新たな主役「中間アウター」
レイヤード提案とお得感で売り込め
23.7℃
2023年の月平均最高気温
(気象庁調べ)
10月はだいぶ過ごしやすくなるとはいえ、昨年は単日の最高気温が29.9度に達する日もあり(気象庁調べ)、気温に合わせて脱ぎ着できるアイテムが重宝される。店頭は、ニットカーディガンやマウンテンパーカやレザージャケット、中綿ブルゾンやジレなど「中間アウター」がメイン商品になる。「10月はレザーや中綿入りの重すぎないアウターの型数を増やす」(エモダ)。店頭にはニットがそろい始めるが、重ね着しやすいハイゲージや合成繊維などが中心だ。ウールコートなどの実売期間が短くなり、「中間アウター」は秋冬の新しい主役に踊り出た。重ね着の自由度の高さと、「春までずっと着られる」という、ある意味での“お得感”で売る。
ブランドの戦略は?
「アウターは型数を絞り、薄手のジャケットやブルゾンを投入。ミニボトムスやロングブーツと合わせて程よい肌見せを提案したい。」―「アングリッド(UNGRID)」
「アウターは引き続きハーフ丈が主軸。ニットは定番人気のハイゲージ、薄手モヘアなどをメインにする」―「ミラ オーウェン」
「例年の9~10月はミドルゲージニットが主力だが、今年はシャツに注力。ベイカーパンツなどと合わせ、オン・オフ着回せるこなれたスタイルを提案したい」―「ロペピクニック(ROPE PICNIC)」
「ニットを投入。ただし例年より気温対応は意識し、ハイゲージや合繊など本格的にウールニットに移行する前の品ぞろえに」―「インディヴィ」
「ニットアウター、中わた企画、ウールコートなどアウター提案幅拡大。ブランドの強みのニットアイテムによるフルコーディネートを打ち出す」―「エポカ(EPOCA)」
「10月は毎年ファーアウターなどを投入していたが、ニットカーデやレザージャケット、キルティングなどの中間着アウターに重点を置いたMD設計に変更」―「アズール バイ マウジー(AZUL BY MOUSSY)」