サステナビリティ

「服から服」の循環、世界規模で実装へ 日中の有力企業がタッグ

循環型の「服から服(Textile to Textile)」リサイクルの世界規模での実装が、いよいよ近づいている。東レは中国の有力企業である恒申(こうしん)集団とナイロンのケミカルリサイクルで、ポリエステルでは中国・江蘇省のポリエステルのリサイクル大手でリサイクルブランド「リオエコ(REOECO)」を展開する佩浦(ペイプー)集団や賽隆(サイロン)集団と組み、水面下で複数のグローバルブランドとの協議を進めている。「日本と異なり、中国では繊維製品の回収から分別、生産までの仕組みが整っており、価格はバージン品(*化石由来で生産する製品のこと)の5〜10%増に抑えられ、クオリティーも高いので商品化のハードルが低い。早ければ2028年にも商品化できる可能性がある」(東レ担当者)という。

合成繊維はコットンやウールなどを含めた全繊維の生産の中で8割近くを占め、圧倒的にシェアが高い。グローバルブランドが採用すれば、次世代の本命サステナビリティ素材として一気に広がる可能性もある。東レと「リオエコ」は、現在パリで開催中の「プルミエール・ヴィジョン」に出展しており、世界の有力ブランドにアピールしている。

酵素で分解する「第三の製法」

佩浦集団は、物理法・化学法に次ぐ第三の製法と言われる、酵素を用いた生物分解法「バイオキュラス(BioCulus)」を開発した。水ベースのプロセスのため化学薬品も溶剤も使わず、高温・高圧も不要。回収したポリエステルはバージン相当の品質に戻り、そのまま高性能糸へ紡糸できる。同社のステファン・エドクヴィスト(Stefan Edkvist)事業開発部ディレクターは「バイオキュラス製法ではバージン品同等のクオリティーで、これまでのケミカルリサイクルと異なりコストもかなり抑えられる」と話す。通常のケミカルリサイクル品はバージン品の2〜4倍と言われるが、「同等とは言わないが、それに近い価格になる」。生産量は「26年は1万トンだが、27年には10万トンに引き上げ、30年には100万トンにまで拡大させる」と鼻息は荒い。

東レは国内でポリエステルとナイロン、いずれもすでに独自のケミカルリサイクル技術を確立しているが、中国企業と組むのは理由がある。「中国はサステナビリティ的な考え方が普及する以前から、繊維製品を回収して生産する仕組みがあった」と指摘するのは、大手繊維機械メーカーの関係者だ。

佩浦集団のエドクヴィストディレクターも「回収に関して中国は仕組みがかなり整っている。繊維製品は一つの製品にポリエステルだけでなく、コットンやナイロンなどの複数の素材が使われていることも多く、それがリサイクルのボトルネックになっていた。当社はポリエステル混率9割以上の製品に限定して集めているが、それでも27年の生産量10万トンには全く問題ないレベルで回収できている」。難題に正面から挑むより、回せる領域から動かす。合理的な中国企業らしい判断で、実装を急ぐ。

一方、日本国内では、その先を見据えた動きが始まっている。経済産業省の後押しを受け、帝人フロンティア、東レ、クラボウ、日清紡テキスタイル、日本毛織(ニッケ)の繊維大手5社と地球環境産業技術研究機構(RITE)は、25年10月にコンソーシアム「Consortium for Fiber to Fiber(CFT2)」を設立。NEDOの「バイオものづくり革命推進事業」に採択され、酵素や微生物を用いて複合繊維を分離・再資源化する技術の開発・実証に取り組む。天然繊維と合成繊維の両方に対応する資源循環システムの構築を目指しており、実現すれば、素材を選ばない「全繊維型」のリサイクルが視野に入る。日中のタッグでポリエステルの実装を先行させ、その先を全繊維型の次世代技術で引き継ぐ。

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