ファッション業界のご意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回はアパレルのMD(マーチャンダイジング)を深掘りする。アパレルブランドを見渡すると、好不調がはっきり分かれているように見える。時代の空気感を捉え、それを店頭のMDにしっかり反映させる行為とは、具体的にはどういうことなのか。実例をあげて検証してみた。
インフレと賃上げ株上げの好循環(?)なのか、アパレル消費もようやく勢いを取り戻し、大概の商業施設やアパレルブランドやストアの売り上げもコロナ前を超えるようになったが、残念ながらそうではないブランドやストアも少なからず見られる。明暗を分けているのはウエアリングとMDのトレンドのようだが、ざっくりと線引きしてみよう。
モテとモブを分ける時代の空気
アパレルの「売れる」「売れない」はデザインや色柄、品質や価格もともかく、時代の空気に流されることは否めない。よほど高齢になって枯れない限り、男女を問わずモブ風の服よりモテ風の服の方が売れるのは必然だろう。
若者向けのアニメやコミックを見ていると彼氏の服装は都会的なクリーン系、モブな脇役の服装は田舎風のアメカジ系というステレオタイプな設定が多い。大人でもバリバリの現役世代はきちんと感のある機能性合繊のクリーン系だが、リタイア親父や冴えない中壮年はラフな綿のアメカジというイメージで「イオンコーデ」と揶揄するSNSもある。
この夏のTシャツなら、接触冷感のテレ落ちTシャツをブラウジングしてタックインするのがクリーン系、ウォッシュしたオーバーサイズの綿Tシャツを無造作にタックアウトするのがアメカジ系なのだろう。どちらのTシャツが売れたか結果は明らかだが、元から接触冷感のテレ落ちTシャツを置いていなかったブランドやストアはトレンドの変化を知る由もない。
そういえば「ライトオン」や「アズール バイ マウジー」などアメカジベースのカジュアルチェーンは業績が落ち込む一方、TOKYOBASEのオリジナルブランドやユナイテッドアローズの「グリーンレーベルリラクシング」などクリーン系は売り上げを伸ばしている。若い女性向けでもアメカジベースのギャル系が伸び悩む一方、アゲハ寄りの「ダーリッチ」からフェミニン寄りの「チコ」までクリーン系は勢いがある。
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