植田みずきデザイナーが手掛ける「エンフォルド(ENFOLD)」は、2027年春夏コレクションを発表した。テーマは「WRAPPING STRUCTURE」。ミッドセンチューリーモダンを中心とした建築物の構造に着目し、完成した建物の表面だけでなく、その内側に存在する設備や機能、建物を支える骨組み、それらを覆う表皮までを服へと置き換えた。
キーワードは「インナー/ストラクチャー/スキン」。これらを意味する内臓部、骨組み、表皮という建築を構成する3つの要素がベースだ。会場に選んだ寺田倉庫G1-5Fは、コンクリートの柱が並び、天井にはパイプやエアコン、蛍光灯も剥き出しになった無機質な空間で、これらのキーワードを体現する。ショー前に目を通したコレクションノートからは、冷たいコンクリートや複雑な構造、日の当たらない暗さを想起した。しかし実際のランウエイでは、植田デザイナーが得意とする構築的なシルエットと巧みな色使いによって、無機質なイメージに鮮やかな彩りを与えた。
建築の構造を映すシルエットと素材
カギとなるのは、やはりシルエット。これまでのように彫刻や陶器のようなうねりや凹凸があると思えば、大胆な突起や四角もある。サテン地のボックスプリーツのスカートは、前見ごろに大きなボックスを入れたようなシルエットをつくるだけでなく、ボックス型のペプラムスカートや肩幅をオーバーサイズに仕立てたジャケットなど、服に構造を生んだ。
素材は、ボンディングやエナメル、サテンにリネンネップなどを採用。ざらつきや硬さ、柔らかさ、光沢といった異なる質感を組み合わせ、建築物が持つ多層的な表情を服の上に描いた。クリアなビニール素材や肌に馴染むベージュのシースルー素材は、透明感のあるエレガントさを持たせる。
ストラクチャーに映える多彩なカラー
そして、色。多色使いは「エンフォルド」に欠かせない要素の一つでもあるが、今シーズンはカラフルで大胆な色彩使いが特徴のメキシコの建築家ルイス・バラガン(Luis Barragan)の作品に着想を得て、これまでで一番の数を採用したという。グリーンにイエロー、パープル、ピンク、レッドにネイビー、オレンジ、ブラウンなど。濃淡の違いもあれば、蛍光色もある。素材やレイヤードによって同じ色も異なる表情を見せ、無機質な建築を思わせる構造に、鮮やかな色のレイヤーを重ねた。
一つひとつが役割を持ちながら建築物を形作る構造材のように、素材、色、シルエットを幾重にも重ね、身体の周囲に「エンフォルド」らしい新たな構造を築いた。
足元は“和”なコラボレーション
インビテーションにも使用したグラフィックは、グラフィックデザイナーの山口崇多が制作。建築の直線的な造形を有機的に表現し、今季を象徴するモチーフとしてコレクションにも取り入れた。
足元は、植田デザイナー自らの希望でかなったという「ゴヱモン(GOYEMON)」と協業した雪駄サンダルを着用。「エンフォルド」のフォルムに呼応するようフロントのミッドソールを前方へ張り出させ、アッパーにはウエアと同素材の中綿入りパーツを使用した。服はエレガントながら、足元に“和”をミックスしたスタイリングは意外性のあるアクセントになった。