ファッション業界のご意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回のテーマは「セレクトショップ」。日本でその呼び名が定着して40年以上が過ぎ、大手のビジネス規模も巨大化した。しかし一方でアッパーミドル以上の市場には踊り場感もある。継続的な成長のために何が必要か。小島氏が提言する。
新宿や渋谷の商業施設を一周して各店のVMDとMDを点検するのが毎月の習慣になって久しいが(隔月で郊外SCも一周してます)、近年は大手セレクトショップのVMDもMDも魅力が褪せた感を否めない。独自の目利きとVMDスキルが光っていたベイクルーズ系のストアも目を惹くことが稀になり、コントラストの効いたVMDが魅力だったパルの大人セレクト業態も24年の秋口から目に見えて輝きを失い、毎月の巡回もインパクトある提案を見出す楽しみが薄れてしまった。いったい大手セレクトに何が起こっているのだろうか。
セレクトブランドの開発力・供給力に限界
パルの場合は井上英隆創業会長が引退するのを契機にガバナンス(個別業績評価のKPI)に変化があったのか、24年の春先から「ウィムガゼット(WHIM GAZETTE)」や「ガリャルダガランテ(GALLARDAGALANTE)」など大人セレクト業態でコントラストを効かせるスポットアイテム(シアーなデザイントップスやボトム)が消えてスタイリングが平板になり、色環順ルック回転に小物をアクセントする鮮やかなVMDも崩れ、価格帯に見合わない単品構成の定型ルック陳列になってしまった。
それは特定の店舗に限らず同一業態の複数店舗に共通し、いくつもの業態に同時に起きたから、数値管理(おそらくは粗利益率)優先のKPIに変わって感覚的な魅力が削がれたのだと直感した。そう感じたのと同時に、毎月開示される既存店売上前年比がマイナスに転じ、25年秋からは株価まで落ちていったから、私だけでなく多くの顧客が同様に失望したのだと思う。
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