(右)苫米地香織/ライター:販売員を取材して25年目。取材した販売員は2000人以上。店頭にこそアパレル業界を再生させる鍵があると信じて、販売ジャーナリストとして取材活動を続けている。 ILLUSTRATION : UCA
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月24日号からの抜粋です)
横山:恒例の販売員特集です。アパレル、ビューティ業界からよりすぐりの販売員20人が登場し「今、支持される販売員とはどんな人なのか」を追いました。以前は実際に店頭へ足を運んだり、ロープレコンテストの優勝者から取材候補を探したりすることが多かったですが、最近はSNS経由で発掘することも増えました。
販売員の働き方はもっと多様に
苫米地:私はかれこれ14年ほどこの特集に関わっていますが、一番大きな変化はSNSが販売員の主戦場の1つになったこと。今回私が推薦した︎、「アダム エ ロペ(ADAM ET ROPE)」京都店の河端ちはるさんと「ウィム ガゼット(WHIM GAZETTE)」青山店の佐藤亜由美︎さんは、いずれも私が以前からインスタグラムでフォローしていました。ともにアラフィフ世代で「50代になっても、もっとオシャレを楽しもう」という勇気づけてくれるような発信が魅力です。
横山:SNSの活用法も多様です。
苫米地:最近は、同業に向けた接客レクチャー系のコンテンツや、“販売員あるある”のような面白ネタでファンを増やす人もいます。発信力を生かして、その後、講師やパーソナルスタイリストなどとして独立するなど、次のキャリアにつながる可能性もあると思います。
横山:店舗やブランドに所属しない、フリーのインフルエンサー販売員として活躍する人も出てきました。インセンティブ制度も広がり、年収1000万円プレーヤーも多く誕生していると聞きます。
接客力の本質は
人間力
苫米地:ただ一方で、SNSですてきだと思って店に会いに行ったら、接客がいまひとつでがっかりした、という話も耳にします。フォロワー数が多いことと、接客がうまいことはイコールではありません。接客力の本質は人間力。長く店頭に立っていれば自然と身につくものでもない。お客さまをよく見て、自分の接客を振り返りながら、自分を磨き続ける必要があるんです。
横山:本号に登場するスター販売員たちが、日々どんな研さんを積んでいるのかも読みどころです。販売員にまつわる課題は他にどんなことがありますか?
苫米地:やはり待遇面。ただ企業に給料を上げてほしいと一方的に訴えるだけでは変わらないと思うんです。販売員側も自分の強みを生かして人を呼び込み、売り上げにつなげる努力が必要。その成果を企業がきちんと評価して待遇に反映する。そんな循環が、販売職をもっと魅力的な仕事にするはずです。