(右)藪野淳/欧州通信員:ヨーロッパ生活は9年になるけれど、こんな気温が続くのは初めて。暑さが苦手なので、今季の取材は電動自転車での移動、午後の水シャワー、ショートパンツでなんとか乗り切った ILLUSTRATION : UCA
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年7月6日号からの抜粋です)
日本勢の存在感が拡大
本橋:2027年春夏メンズコレ速報です。今季はとにかく暑かった。僕はピッティ・イマージネ・ウオモの取材で6月下旬にフィレンツェ入りしたのですが、その時点ですでに気温は35度。ピッティ名物のスーツ姿の来場者たちも、みんな日陰に避難していました。ミラノはさらに過酷で、屋外ショーは本当に丸焼き状態でした。
藪野:パリも大変でしたね。「ディオール(DIOR)」と「リック・オウエンス(RICK OWENS)」は40度になるという天気予報を受けて、昼間に開催予定だったショーを急きょ朝に変更しました。それでも朝から晩まで暑く、ホテルに戻るころには毎日体力を使い切っていました。これだけ暑い日が続くなら、開催時期は変えられないとしても会場の選び方や環境は見直されるかもしれませんね。そんな中で印象に残ったショーは?
本橋:初めてメンズ単独ショーを開催した「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」です。ブランドらしい可憐でロマンチックな世界観を、そのままメンズでも成立させていた。これまでフェミニンな男性服って、自分が着たいと思えるものはあまりなかったんですが、「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」は自然に憧れを抱けるコレクションでした。屈強さだけではない、新しい男性像を提示していたと思います。
藪野:その点では、ジュリアン・クロスナー(Julian Klausner)の「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」もすてきでしたね。風をはらむ柔らかな素材や幻想的で淡い色使い、繊細な官能美、軽やかなムードが印象的で、会場内は暑かったものの夢見心地でした。ジュリアンもそうですが、「ディオール(DIOR)」のジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)や「ジバンシィ(GIVENCHY)」のサラ・バートン(Sarah Burton)らウィメンズも手掛けるデザイナーたちは一貫した美学を男女両方に生かしていることもあり、メンズウエアの表現はより自由で多様になっていると感じました。そのほかでは、「オーラリー(AURALEE)」の都会の日常とバカンスを行き来するストーリーも秀逸でした。モチーフ柄やジュエリーなど新たな挑戦を続けながら、ブランドの世界観を無理なく広げているところも好感が持てます。
本橋:パリでは以前から日本ブランドの存在感はありましたが、今回はそれに加えて、ルミネによるポップアップなど、日本のモノ作りやカルチャーを発信する動きも目立ちました。パリコレデビューを果たした「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」もすばらしかったし、現地の反応も良かったですね。