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「無印良品」出身の山本社長、「ロクシタン」改革へ 「やることを絞る」ブランド戦略

ロクシタンジャポンは、ブランド創設50周年を機にブランド改革を本格化する。1月に就任した山本直樹社長は、良品計画で上席執行役員として培った経験を生かし、ブランドデザインの刷新やヒーロープロダクトへの集中、店舗体験の強化、サステナビリティ経営を軸に、次の50年に向けたブランドの再構築を進める。

現在、「ロクシタン(L‘OCCITANE)」は世界で約3000店舗を展開する。山本社長は、「50年続くブランドは世の中でも1%以下ではないか。その背景にはブランドコンセプトの強さがある」と説明。「『ロクシタン」は単なるオーガニックコスメブランドではなく、自然の恵み、南仏プロヴァンスの美学、人のぬくもりを掛け合わせたライフスタイルビューティメゾン」とブランドの位置付けを改めて示した。

ブランド改革の経験を
「ロクシタン」へ

山本社長は、良品計画で“第二創業”のブランド改革に携わり、「自分の中でもやり切ったという思いがあった。そのタイミングで、50年続くブランドの次の50年をつくるというチャレンジをいただいた」と就任の経緯を振り返る。「ロクシタン」については、「コンセプトは正しく、ブランドも強い。しかし、日本事業は苦戦していた。それを立て直すことに意味があると感じた」と話した。

この1〜2年は、日本だけでなくグローバルでもブランド運営を見直す過渡期にあるという。各国が独自に展開してきたブランド運営から、世界共通のブランドコンセプトやヒーロープロダクトを軸とする体制へ移行しており、「グローバルとして一つのブランドを育てていく土台作りが始まっている」と説明する。

「やることが多すぎた」
ヒーロープロダクトに集中

山本社長が改革の第一歩として着手したのが、マーケティングの整理だ。「日本では、あれもこれもと一度に伝えようとしていた。情報が多すぎると、お客さまは結局何を選べばいいのか分からなくなってしまう」。そのため、マーケティングカレンダーを見直し、時期ごとに訴求する商品を絞り込み、「ヒーロープロダクトを中心にワンメッセージで発信していく」と話す。

ブランド刷新の一環として昨年、ロゴやパッケージデザインを一新。プロヴァンスのライフスタイルやアートを取り入れたデザインへ進化させたほか、“シア ハンドクリーム”や“アマンドスブリーム シャワーオイル”など、グローバルで支持されるヒーロープロダクトを改めてブランドの軸に据える。「新しいお客さまには、まずブランドの一番強い価値をストレートに伝えることが重要だ」と山本社長は話す。

日本で育んだブランド価値

「ロクシタン」は1999年、青山に1号店をオープンした。当時、海外化粧品ブランドが百貨店の化粧品売り場から展開するのが一般的だった中、ブティック型店舗を起点に、ファッションやライフスタイルブランドとして認知を広げてきた。ホテルアメニティーや機内販売などを通じて新規顧客との接点を増やし、2008年には世界1000店舗目となるグローバル旗艦店を渋谷に開設した。コロナ禍を経て生活者のウェルビーイングやセルフケアへの関心が高まる中、国内では約115店舗を展開し、LINE公式アカウントの友だちは2990万人を超えるなど、幅広い顧客接点を築いている。

山本社長は、「ボディーケアを課題解決のためだけではなく、香りとともに楽しむ文化や、コスメをギフトとして贈る文化も『ロクシタン』が築いてきた」と話す。ブランドの強みとして、“シア ハンドクリーム”を象徴とするアイコニックな商品、日々のケアを豊かにする香り、売り上げの20〜30%を占めるギフト需要、そしてブランドのファンでもあるビューティアドバイザーの存在を挙げた。「ブランドを愛するスタッフが、お客さまに説得力と熱意を持って商品の魅力を伝えていることも大きな財産」と語る。

若年層と男性客を取り込む
フレグランス戦略

成長戦略の柱の1つが、香りカテゴリーの強化だ。昨年リニューアルしたフレグランスコレクション“アート オブ セント(ART OF SCENT)”では、香水だけでなくボディーケアやハンドケアまで同じ香りでそろえられるほか、異なる香りを重ねて楽しめる提案を行う。

山本社長によると、ブランド全体では新規顧客のうち約45%を20〜30代が占める一方、“アート オブ セント”では20〜30代の新規客比率が50%を超える。男性の新規顧客も前年比約60〜70%増と伸長しているという。さらに今夏は、「集中」「リラックス」「アクティブ」の3つの気分やシーンに合わせた香りを展開する“ムードフレグランス”の提案にも力を入れる。「香りは若い世代にも支持されている。ここは今後の大きな成長機会」と期待を寄せる。

店舗を「一番上の組織」へ

店舗改革も重要な柱だ。同社は今後、体験型店舗へのリニューアルを進め、商品を販売する場から体験を提供する場へ進化させる。今春、伊勢丹新宿本店地下1階「イセタン ビューティー アポセカリー」にリニューアルオープンした店舗では商品を試せる水栓スペースを拡充した。グローバル旗艦店「ロクシタン・シブヤ・トーキョー(L'OCCITANE SHIBUYA TOKYO)」では、ブランドストーリーを発信するポップアップイベントを継続的に開催し、「店舗をブランドのメディアとして育てていく」という。

同時に、店舗スタッフの役割も見直す。「店は本部の指示を待つ組織ではなく、一番お客さまに近い、一番大事な組織。スタッフがもっと主体的に提案できるよう権限を委譲し、現場の力を引き出していきたい」と語った。

次の50年に向けた成長基盤づくり

サステナビリティでは、23年に取得したBコープ(B Corporation)認証の継続を目指す。「日本では取得企業は約90社にとどまり、グローバル企業では珍しい。人や環境に配慮した経営はブランドの根幹」と山本社長。一方で、今後3〜5年は店舗数を増やすのではなく既存店の売り上げ向上を重視する考えだ。「これまでブランドを支えてくださったお客さまに加え、新しい世代にも『今も魅力的なブランド』と思っていただきたい。50年の伝統を守りながら、次の50年もライフスタイルの一部として選ばれ続けるブランドへ進化していきたい」と意気込みを語った。

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