(右)林芳樹/副編集長:正月にランニングを始めようと最新のシューズを購入。「寒さが収まったら走ろう」「花粉が飛ばなくなったら走ろう」「梅雨が明けたら走ろう」ときて、今は「暑さが収まったら走ろう」 ILLUSTRATION : UCA
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月17日号からの抜粋です)
テックとクラシック、二極の進化に注目
津布久:スポーツアイテムを日常的に取り入れる人たちが増えています。そこで今回は、スポーツブランドが提案するファッションに着目しました。大きな潮流は2つ。1つは、最先端の高機能素材を生かした「テック︲モード」。もう1つはアーカイブのデザインを土台にした「クラシック」です。
林:印象に残ったのはどのブランド?
津布久:やっぱり「アディダス(ADIDAS)」は提案が上手ですよね。それから、表紙でも登場した「ウイルソン(WILSON)」は、「クラシック」を象徴するブランド。テック系では「ナイキ(NIKE)」や「ゴールドウイン 0(GOLDWIN 0)」が、実験的で面白い服を作っています。
林:「アディダス」といえば、ワールドカップですね。従来は、競技用のサッカーウエアには三本線の山形のロゴ、カジュアルウエアには三つ葉のマークのトレフォイルと使い分けていましたが、今回の各国のアウェイユニホームにはトレフォイルを採用した。クラシック回帰の流れを意識している。
津布久:一般的にアウェイユニホームは売れにくいと言われていますが、今回の日本代表は前回大会比で約30〜40倍も売れたというから驚きです。
林:「デサント(DESCENTE)」や「ゴールドウイン(GOLDWIN)」も変わりました。少し前までは国内のスポーツメーカーの印象でしたが、ここ数年で一気にファッションブランド的になってきた感じがします。「ミズノ(MIZUNO)」や「アシックス(ASICS)」がシューズを軸に成長してきたのに対し、両社はアパレルが中心で、かつては海外ブランドのライセンスビジネスも大きかった。それが今、自社ブランドを強化し、海外市場を目指しています。
“場”を作れる
スポーツブランドは強い
津布久:商品だけでなく、スポーツそのものの楽しみ方を提案する動きも強まっています。僕もブランド主催のランイベントによく参加しますが、「オン(ON)」のイベントで箱根を走ったときは楽しかったですね。普段走らない場所を選ぶなど、体験そのもののデザインがうまい。
林:確かに今は一人でストイックに取り組むよりも周りとの関係性の中でスポーツを楽しむ形に変わっていますよね。ランニングは典型的。昔は一人でストイックに走るのを楽しむランナーが多かったけど、「ナイキ」のランニングアプリなども出てきて、SNSで結果を共有したり、応援しあったりするようになった。コミュニティー作りの手法も時代とともに洗練されてきた感じがします。