
知る人ぞ知るファッション業界随一のアイス好きといえば、「フリーダ(FREADA)」のディレクター、小笠原希帆さんをおいて他にいないだろう。「フリークス ストア(FREAK'S STORE)」のプレス時代から掲げていたモットーは、“365日、朝昼晩アイス”。そして“ハーゲンダッツ親善大使”を目論んでいたのも有名な話。そんなアイス好きの、アイス好きによる、アイス好きのためのイベントが原宿で開催されている(現在は終了)。その名も「Meet Your Häagen-Dazs~あなたがまだ知らない、ひとくち。~」。となれば、行くしかないでしょう!通算2万2000個以上(編集部調べ)のアイスを食べてきた“クイーン オブ アイス”小笠原さんは、果たして“まだ知らないひとくち”に出会えるのか。(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月17日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
1万通りのアレンジから
自分史上最高の
“ひとくち”を見つける
PROFILE:1984年10月1日生まれ。大学卒業後、デイトナ・インターナショナルに入社。「フリークス ストア」渋谷店の店長やプレスを経て、2017年春にブランド「フリーダ」を立ち上げた。“わたしがいま本当に着たいもの”という思いを大切に、古着のリメイクや民族衣装に着想を得たエスニックアイテムを展開する。プレス時代には「フイナム」で「アイス大好き」と題したブログを執筆。取材時は「フリーダ」のサロペット(1万6500円)とリメイクミリタリーシャツ(6万500円)を着用
小笠原さんと訪れたのは、原宿で8月18日まで開催されていた「ハーゲンダッツ」の期間限定ポップアップ「Meet Your Häagen-Dazs~あなたがまだ知らない、ひとくち。~」だ。参加は事前予約制で、料金は1500円。約50分のプログラム。「まだ知らない、ひとくち。」をテーマに、「バニラ」「ストロベリー」「グリーンティー」「ガナッシュショコラ」に加え、一般販売していない、全ての「ハーゲンダッツ」アイスクリームのベースとなる「プレーンミルクアイスクリーム」の5つを体験できる。
イベント最大の魅力は、アイスクリームとトッピングを自由に組み合わせるアレンジ体験だ。8種類のアイスクリームから好きな2種、13種類のトッピングから好きな3種を選ぶことができ、その組み合わせは1万通り以上。自分だけのオリジナル「ハーゲンダッツ」を作ることができるのだ。そして今回の目的は、その膨大な組み合わせの中から、小笠原さんにとっての“まだ知らない、ひとくち”を見つけようというもの。
なお、「プレーンミルクアイスクリーム」を使った限定メニュー3種類を楽しめるキッチンカーは、東京に続き、福岡(8月22〜23日)、大阪(8月29〜30日)、仙台(9月12〜13日)の3都市を巡回する予定。ハーゲンダッツの新たな魅力に触れられる貴重な機会となりそうだ。
アイスもファッションも
“甘辛ミックス”

小笠原さんがアレンジしたのがこちら。王道の「ストロベリー」に、「カラメルチップ」を加えて、最後に「塩バタービスケット」をトッピング。ストロベリーの甘酸っぱさに、カラメルチップの香ばしい甘味とザラっとした食感、そこに塩バタービスケットのほんのりとした塩味が加わったそれは、まさにキング オブ アイスクリーム!
私がアイスを食べるワケ
──アイスはいつから好きなの?
小笠原希帆(以下、小笠原):小さい頃から好きだったね。母が料理上手で、おやつにイチゴのシャーベットを手作りしてくれたりして。毎日のようにアイスを食べるようになったのは大学生になってからだと思う。
──大学時代には、もう「ハーゲンダッツ」好きだった?
小笠原:大好きだった。高校生までは部活帰りに「ガリガリ君」を食べて「うまい!」っていう感じだったけど、大学生になってアルバイトを始めて、自分で使えるお金ができたじゃん。それで「ハーゲンダッツ」を食べたら、「めちゃくちゃおいしい!」ってハマっちゃって。
──そこから毎日食べるようになった?
小笠原:そう。実は、ちょっとエモい話があって。私、母を高校3年生の時に亡くしてるのね。それで当時、父が毎週「ハーゲンダッツ」を7個買ってきてくれてた。
──7個!?
小笠原:大学生になったらサークルとかゼミとかで忙しくなるし、夜も帰ってこなくなるじゃん。父は出張が多くて家を空けることも多かったから、娘が家に帰っているか心配だったんだと思う。それで、私がアイスを好きなことを知っていたから、「ハーゲンダッツ」を7個買っておくの。2個余っていたら、「2日帰ってきてないな」って分かる(笑)。
──それで生存確認していたんだ。
小笠原:そうそう(笑)。しかも反抗期の娘でも、「ハーゲンダッツ」を買ってきてもらったらうれしい顔をするじゃん。「お父さん、ありがとう」とか言っちゃったりして。それが父もうれしかったんだと思う。今思うと、泣ける話だよね。
──いい話だね。
小笠原:「ハーゲンダッツ」にはそういう家族との思い出もあるんだよね。
社会人になって
“1日3食「ハーゲンダッツ」”

──社会人になってからは、さらに食べるようになったの?
小笠原:全然食べてた。アルバイト時代より使えるお金が増えたから、1日3食「ハーゲンダッツ」だね(笑)。
──ご飯もちゃんと食べるの?
小笠原:一応食べてたけど、仕事も忙しかったし、アイスだけ食べるみたいな日もあったね。
──それでその体型をキープしているのがすごい。
小笠原:服屋さんだから、着るのがうまいんですよ(笑)。脱いだらちゃんとお腹とか太ももについてるから。でも私、首と手首と足首が細いの。だから、「フリーダ」は、そこが出る服が多い。八分丈だったりマキシ丈だったり。
──年齢を重ねて体型が気になってきても着られる服ということだね。
小笠原:そう。若い頃にアイスをいっぱい食べて、ちょっとふくよかになった40〜50代でも着られるのが「フリーダ」です(笑)。
──今もアイスはずっと食べ続けてる?
小笠原:ずっと食べてるよ。暖房の効いた部屋で食べるアイスもおいしいし、冷房の効いた部屋で食べるアイスもおいしいじゃん。アイスを食べながらホットコーヒーを飲むのも好き。
──その組み合わせ、分かる。
小笠原:洋服も一緒なんだよね。甘いものと辛いものを合わせるのが好きなの。
──甘辛ミックス?
小笠原:そう。「甘辛ミックス」って言葉自体はちょっと懐かしいけど、例えば、ボロボロのバンドTシャツにはパールのネックレスを合わせたい。その乖離がかわいいの。古着にきれいなジュエリーを合わせるとか、ビンテージデニムに上質な時計を合わせるとか。全身ボロボロだと、ただのボロボロな人になっちゃうじゃん(笑)。どこかに異質なものを入れるのが大事。
──それが小笠原さんのファッション哲学なんだね。
小笠原:たぶんそう。みんなやっていることは意外と同じだと思う。光沢があるものを入れたり、艶のあるものを合わせたり。違う質感や要素をぶつけることで、スタイリングがかわいくなる。
──今日のアイスのアレンジにも通じる。
小笠原:そうなの!今日も、トロッとしたアイスにサクサクしたものをのせたらおいしかったじゃん。カラメルチップとか塩バタービスケットとか。甘いものにちょっとしょっぱいものを入れるのも好きだし、エスプレッソソースもすごくおいしかった。
──まさにアイスの甘辛ミックス。
小笠原:そうそう。甘いものに違う要素を加えると、お互いが引き立つんだよね。私がアイスで好きなことと、ファッションで好きなことって結構似ているんだなと思った。