
スポーツブランドのお家芸である機能性素材を追求した結果生まれた独特なシルエットは、ファッションシーンでどのように映るだろうか。(この記事は「WWDJAPAN」2026年8月17日号からの抜粋です)
TEC-MODE

STYLIST’S COMMENT
有本祐輔/スタイリスト
「ハイテクでモード」であるという、現代のスポーツブランドの特徴を色濃く出したスタイリングですが、クラシックなウィメンズと対照的に、「ゴールドウイン 0(GOLDWIN 0)」や「デサント オルテライン(DESCENTE ALLTERRAIN)」のようなミニマルで機能的なデザインのアイテムを着想源にしました。立体的なベストやテクニカルなアイテムを用いて、軽量感や未来性を感じさせるスタイルを提案。パフォーマンスの中で優秀さを発揮するテック素材ですが、競技だけでなく日常にも自然と溶け込む、新しいスポーツライフスタイルを表現することができる素材でもあると思います。個性的なテクスチャーもモードなスタイルとして表現すると、日常着としても違和感なく取り入れられると思います。
アスリートを支えるテクノロジーは
長年の研鑽を重ねた最先端
より軽量で、よりはっ水透湿性が高く、より耐久性があるものに、と追求してきたスポーツブランドのパフォーマンスウエアは、それ自体がブランドの個性と機能を表現したデザインとなり、いつしかファッションの世界でも頭角を現した。これらのプロダクトで作られるスタイルを「テック-モード」と表現し、シーンにおけるスポーツブランドの強みとしてカテゴライズしたい。この分野でスポーツブランドの右に出るものはいない。長年その競技と向き合い、アスリートのためにあと1グラムでも軽く、あと1秒でも速く、あと1℃でも低くと研究を重ねた上で開発されたウエアは、積み重ねた歴史の中で他の追随を許さないものとなった。「ナイキ(NIKE)」はリーディングブランドとして各競技でそのテクノロジーを発揮するが、近年は特に注力するトレイルライン「ナイキ ACG(NIKE ACG)」のウエアがインパクトを持っている。ナイキの売上高はスポーツメーカー不動の1位ながらも成長率は少し鈍化しているが、ファッションアイコンとしての人気は未だに顕在。そんな「ナイキ」がスポーツブランドとして新たな開発へ矜持を持ち続けていることはファンを喜ばせる。また、特にテクノロジーではアウトドアブランドの存在は外せない。「ゴールドウイン(GOLDWIN)」の広報担当者は、「『テック-モード』はイメージとして近いが、あくまでも起点はアウトドアやスポーツで培ってきた技術と機能。それをライフスタイルに合わせて再解釈した結果、機能美を持ったウエアになることを目指す」と話す。それらが「スポーツと日常をシームレスにつなぐことで、アクティブシーンと都市生活が分断されずに連続したライフスタイルになってほしい」とした。スキーやゴルフをコアスポーツとする「デサント(DESCENTE)」も「アスリートの限界への挑戦を機能美で支えたい。結果を出すことを最優先として、無駄を削ぎ機能を極めた結果生まれたデザインが、日常とパフォーマンスをつなぐウエアと設定する」と、どちらも機能を第一としながら、その結果生まれたデザインをファッションと融合させることを大事としている。そうして生まれた必然性のあるデザインが、モードの世界とつながることがスポーツブランドの提案するファッションの面白さだ。多くのデザイナーもこれに魅力を感じ、数多くのコラボレーションが生まれている。
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