(右)関戸和/エディター:これまでさまざまな環境で撮影してきたけど、漁港撮影は初めて。今回はスケジュール的に叶わなかったが、次に銚子に行くときは豊倉さんが取ったつりきんめを食べたい! ILLUSTRATION : UCA
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年9月28日号からの抜粋です)
課題の先に循環の
可能性が見えた
向:今回のサステナビリティ特集では、サプライチェーンの各工程を担う日本企業48社にアンケートを行い、現在の取り組みや課題、今後の可能性を聞きました。そこから見えてきたのは、ファッション産業がリニア型からサーキュラー型へ移行する動きが、確実に進み始めていることです。
関戸:表紙も、その「循環」をどう伝えるかがテーマでしたよね。
向:そうです。表紙には実際に日本国内で循環を実現しているものを登場させたいと考えました。そこで着目したのが、モリトアパレルが開発した日本の漁港で回収した廃棄漁網をリサイクルした素材「ミューロン」です。すでにこの素材の採用実績がある「ダブレット」に、特別にTシャツを製作してもらい、実際に原料の回収元となった漁港の漁師さんに着用いただきました。
難しいサステナを
ポジティブに
関戸:サステナビリティは、詳しくない人にとっては難しく、自分から遠い話に感じてしまうこともあります。だから表紙は、リアルでありながらポジティブにしたかった。全身を「ダブレット」で固めるとフィクションになりすぎるので、漁師さん自身の長靴やゴム手袋、帽子もスタイリングに取り入れました。
向:出来上がった表紙には、すごく優しさがありますよね。
関戸:撮影現場も本当に和やかでした。フォトグラファーの大野隼男さんは、いつも被写体の魅力的な表情を引き出してくれます。当日は現場に「海が好きだ」と書かれたメッセージTシャツを着て来てくださったりして、漁師さんとも短時間で打ち解けていたのが印象的でした。改めてお願いしてよかったと思いました。
向:サステナビリティって、取り組んでいる人たち自身が楽しそうに見えることも大事だと思うんです。それが伝わる表紙になったのがうれしかったです。
関戸:取材を通じて分かった循環の現在地はいかがでしたか?
向:各社取り組みを社外に発信するためのホームページを設けたり、サステナビリティ推進室のような部署を設けたりと、動き出すための体制は整ってきたようでした。次は、それをいかに社員の評価制度などと結びつけるかといった人を動かす仕組みをどう作るか。今回、アンケートだからこそ、企業がまだできていないことや課題まで見えました。そして「課題がある場所には、これからの可能性もある」と分かったことも大きな収穫です。日本の循環はまだ途中ですが、次に進むための現在地を示せた特集になったと思います。
関戸:「WWDJAPAN」では11月にフリマイベントも開催予定です。まずは身近なところから、循環を楽しめる機会を提案していきたいですね。