
きょう10月3日、テレビ朝日で「しろたん」のテレビアニメがスタートした。毎週土曜16時29分から放送され、放送終了後には各プラットフォームでも配信される。オンワードホールディングス傘下クリエイティブヨーコの人気キャラクターを、アニメ制作会社レスプリがアニメ化した。
1999年の誕生から27年。数々の商品やコラボレーション、イベントなどを通じてファンを増やしてきたしろたんにとって、今回が待望のテレビアニメ化となる。おそらく誰よりも仕上がりが気になっているであろう、しろたん本人と共に、レスプリの清水香梨子代表と岡田ありさ監督を直撃した。
しろたんはキャラクター業界の大御所
WWD:お2人は、しろたんにどのような印象を持っていましたか。
岡田ありさ監督(以下、岡田):いろんなところで見かけるキャラクター、という印象でした。友だちの家にいるとか。
清水香梨子代表(以下、清水):他社研究で出てくるキャラクター、という印象です。他の作品を作るときに、「しろたんだったらどうしているんだろう」と調べていました。だからまさか自分たちが担当することになるなんて(笑)。
WWD:まさに長く愛されてきたキャラクターですよね。
清水:彼女(岡田)が言ったみたいに、いろんなことをしていますよね。商品展開も充実しているし、カフェやイベントも開催している。もちろんコラボも多い。「キャラクター×何か」で考えたときに、あらゆることを網羅しているキャラクターだと思います。
WWD:では、アニメ化を担当できる喜びもひとしおですね。
岡田:一方で、プレッシャーも感じています。キャラクターの“テッペン”というか、大御所というか……(笑)。
清水:アニメ制作会社が発表されたとき、「しろたんやるんですね!」とライバル企業からも連絡をもらいました。「実は私も好きなんです」って。他のキャラクターを手掛けている先生の口からも、この話題が出たりしましたね。
岡田:私も今回は友だちからも連絡をもらいました。
WWD:アニメーターから見て、しろたんにはどのような魅力がありますか?
岡田:しろたんは「もちもち」「ふわふわ」としたキャラクターで、ぬいぐるみ作りにも力を入れている。それって動かすときに結構面白いんです。ポヨンとした、軽いゴムボールのような感じ。PVを作るときも、つい触りたくなるような動きを意識しました。
清水:最初にテストカットとして出したのも、ポヨンとした動きだったよね。
岡田:そうですね。どの話にも出てくるしろたんの基本的な動きです。私たちは“モチモチポイント”と呼んでいます(笑)。
どこまで気付けた?作画のこだわり
WWD:元々しろたんはYouTubeにウェブアニメを投稿しており、動くのは今回が初めてではありません。ウェブアニメとの一番の違いを教えてください。
清水:色味と動き、ですかね。
岡田:そうですね。あと、今回は手描き感を出しています。ウェブアニメはつるんとした線だったのに対して、テレビアニメではあえてゆらぎのある線にしました。手先にも、ぽわっとした血色感を足しています。あとは茶色っぽかったキャラクターの主線(輪郭線)を黒くしたり、目のハイライトをなくしたり。
清水:その主線もあえて途切れさせています。
WWD:それはなぜなのでしょうか。
清水:画面越しでも柔らかさが伝わるように、ですかね。でも、このタッチの絵は描くのが大変なんですよね。「主線をどこで途切れさせるべきか」と、考えることが増える。
WWD:それはどのように決めるのでしょうか。
岡田:“よく動くところ”ですかね。例えば首周りはよく動くので、途切れたりしがち。この一手間で、抜け感が出てかわいらしくなるんです。あるのとないのでは、だいぶ印象が違います。
清水:キャラクターデザインがシンプルなので、逆に難しいんですよね。線の量が少ないから、少しの違いで「なぜかしろたんっぽくない……」となったり。
岡田:目が少しでも離れているだけで「あれ?」ってなりますよね。
清水:私たちはクリエイティブヨーコさんから秘伝の書のようなものをもらっていて、それにめちゃくちゃ助けられています。スタッフみんなで勉強しながら、少しでも近づけるように頑張っています。

WWD:「線が少なくて難しい」という悩みは、キャラクターアニメではよくあるのでしょうか。
清水:似たような話は多いですが、しろたんは特別、キャラクターデザインに対するこだわりがしっかりしているなと感じます。一方、脚本は自由度が高い。会議でもみなさん自由に話されていて、毎回すごく楽しいです。
「しろたん」のテレビアニメのストーリーは、原作もあれば、オリジナルもあります。さらに企画中の商品やイベントと連動させることもある。私たちも、描いた絵が商品になることはすごくうれしい。逆も然りで、商品を見て脚本を作ることもあります。
WWD:みなさんが知りたがっているであろう、しろたんを描くコツを教えてください。
岡田:しろたんの鼻は目の下にかかるくらいにあるのですが、ここの位置調整ですかね。これがめちゃくちゃ難しい。しろたんは人中(鼻と口の間)が長過ぎてもいけないし、短過ぎてもいけないんです。
WWD:しろたんも「中顔面」が大事なんですね(笑)。
清水:1ピクセルでもかなり印象が変わります。クリエイティブヨーコさんから昨日もらった作画修正も、目の位置を少しずらすだけでしたが、印象はかなり変わりました。
岡田:ちなみに、目は正円に見えるかもしれませんが、楕円になっています。少しだけ垂れさせたような感じ。(しろたんの友だちの)らっこいぬの方が、目の形が楕円形なのが分かりやすいかな。
「あざらしが歩く問題」にどう立ち向かったか
WWD:しろたんを動かすとなったときに、大変だったことはありますか?
岡田:やっぱり「足問題」が……。
WWD:テレビアニメでは、基本2足歩行なんですよね。
岡田:今(8月の取材時)はまだテストをしている最中ですが、ペンギンみたいに歩くか、着ぐるみのように歩くかの2択かな。どうなったかは、ぜひアニメを見てください。
WWD:もちろん寝そべりパターンも。
岡田:はい。海辺にいるときとか、あざらし感を出したいときは腹ばいで動きますね。「友だちといるときに寝そべっていると、怠けた印象になるから、立たせた方が良いかな」とか、立つか寝るかもいろいろ考えています。
清水:あと、腕もかな。(具体的には)腕がどこから生えているのか、ですね。動かすとなるとカットごとのつながりを意識しなくちゃいけない。直近で考え込んでいるのは、「マフラーを巻きながら、肉まんをどう割るのか」問題(笑)。
岡田:確かに腕……。そういえば、らむねもベースは水色ですが、手のひらは白色で血色感も足しています。だから手が表か裏か、きちんと考えて描かなきゃいけない。
一方、しぇるはいい子(描きやすい)ですね。ただ、装飾品を身に付けるときは悩むかも。「マフラーはどう巻くのか」「耳当てはどこに付けるのか」とか。
清水:そのヒントや答えは、クリエイティブヨーコさんが出している商品に隠されていたりします。やっぱりすごく参考になりますね。
WWD:効果音などにもこだわりはありますか。
岡田:私のお気に入りは、しぇるの跳ねる音。ポヨンとした音に、貝を思わせる「カン」という音を重ねました。効果音(映像のエフェクト)も複雑に作っていますね。
清水:泳いでいるシーンも、ポヨンとした音とキラキラとした音が重なっています。ファンタジーに振り過ぎないよう、程よくリアルな音も混ぜています。
岡田:そもそもポヨン音がいいですよね。なんだか水分が含まれている感じがする(笑)。
清水:そのポヨン音もキャラクターごとに違うので、ぜひ気にしてみてください。
WWD:そのほか注目して欲しいポイントはありますか?
岡田:ウェブアニメと比べると、友だちとの話が多くなっているかな。ウェブアニメはほとんどしろたんだったので。キャラクター同士の絡みが生まれることで、しろたんの思いやりがある側面が出ていると思います。