ファッション
特集 2025-26年秋冬トレンド総決算 第15回 / 全17回

コレクション担当記者の座談会 デザイナー交代から見えづらいトレンド、K-POPの影響まで、25-26年秋冬総決算

無料で読める

コレクション担当記者の座談会 デザイナー交代から見えづらいトレンド、K-POPの影響まで、25-26年秋冬総決算

今回もパリ&ミラノ、ニューヨーク、そしてロンドンのコレクションを現地取材した4人でトレンド座談会を開催。「トレンドが見えない」と言われる2025-26年秋冬シーズンで見出した大きな傾向から、K-POPの影響が強いリアルマーケットの動向、新たなスタイルが次々と現れるSNSムーブメントまで、ざっくばらんに話し合った。(この記事は「WWDJAPAN」2025年4月21日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

Editors

村上要「WWDJAPAN」編集長(以下、村上):デザイナー交代劇の影響なのか、2025-26年秋冬は、トレンドがわかりにくいシーズンでした。

藪野淳「WWDJAPAN」欧州通信員(以下、藪野):そうですね。印象的だったのは、不安で不穏な時代ゆえ、安心感に通じる優しいムードと、現実に立ち向かうべくエンパワーメントしたり憤りをあらわにしたりする力強い雰囲気の双方が際立ったこと。その中で女性らしさをどう表現するか?が問われたシーズンでした。優しいムードは、包み込むようなシルエットやゆったりしたサイズ感、ファーやシアリングのほかブランケットのように触り心地のよい素材、懐かしさを感じさせる色柄使いなどで提案。一方の力強さは、パワーショルダーやミリタリー由来のアイテム、レザー、オールブラックのコーディネート、「プロテクション」という言葉を連想する首から顔の一部までを覆うハイカラーなどが表現していたように思います。

木村和花「WWDJAPAN」記者(以下、木村):バイヤー取材を終えて、「癒やし」や「コンフォート」もムード感のキーだと思いました。トレンドの回転の速さやデザイナーの交代劇に市場全体が疲弊している。だからこそ、「癒やし」につながる優しいファブリックや人の手の温もりを感じるクラフト的な要素へのニーズが高まりそうです。

村上:ミラノの「フェラガモ(FERRAGAMO)」やパリの「サカイ(SACAI)」のように、双方を融合する動きもありましたよね。形あるシルエットなのに、首元をストールでふんわり覆ったかのようなコートが素敵でした。シルエットはオーバーサイズ一辺倒から形あるものにシフトしている印象ですが、最後に一枚、首周りに大きな布をあしらうと途端に柔らかくエレガントに見える。相反する要素の融合が定石になっている今っぽさも感じます。米「WWD」が主張するほど「マキシマム」ではなかったけれど、ロマンチックなムードは確実に広がっていますね。

ビクトリアンなつけ襟からストールまで
ランウエイは首元コンシャス

藪野:ディオール(DIOR)」のビクトリアン調の「つけ襟」がついたシャツは、リアリティーのある新提案でした。フリルの「つけ襟」は取り外しでき、単体で細いストールのようにも活用できる。汎用性が高そうです。

村上:ストールやフリル、ハイカラーなど、ランウエイは“首周りコンシャス”だった印象ですが、リアルマーケットではどうですか?私は、タートルネックさえ息苦しい気がしてあんまり好きじゃないんだけれど(苦笑)。

本橋涼介「WWDJAPAN」ヘッドリポーター(以下、本橋):温暖化が進んでいるので、ストールなどを見かける機会は減っています。ここ数年は各社の秋冬の展示会でもだんだん見なくなっているような……。

藪野:自由なスタイリングには活躍しそうですけどね。トレンドの発端は数年前から捻りの効いたスタリングを見せている「ザ・ロウ(THE ROW)」(今季はカシミヤのタイツをストールのように使用)だと思いますが、最近はメンズ、しかもクラシックなブランドさえスーツの上からニットを巻きつけています。ウィメンズは、もっとダイナミックに肩を包み込んだり、2枚重ねて腰に巻いたり。「どう使っているの?」というスタイリングや、「どういう構造になっているの?」と思うほど再解釈したスタンダードアイテムで、着こなしに新鮮さを加えるのは楽しそうです。あと、昨年一時帰国した時、「イーファー(IEEFAR)」のシャギーなカシミヤの大判マフラーを買ったんです。首に巻きつけるとボリュームたっぷりなんですが、サイズは3種類あって売れているそう。50色という豊富な色展開も魅力的で、いつもの着こなしの上に加えるだけで季節感や華やかさを表現できる。そんなアクセサリーは割と取り入れやすいんじゃないかと。

この続きを読むには…
残り3278⽂字, 画像17枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

良質な睡眠こそ、最大の攻め! 拡大する睡眠市場を追う

「WWDJAPAN」5月12日号は睡眠について特集しました。皆さんは十分な睡眠がとれていますか?人生の3分の1程度を占める「睡眠」ですが、研究されるようになったのは、1920年代とされており、まだまだ謎だらけの領域です。しかし、その効果や役割についてさまざまなことが分かっており、良質な睡眠は、心身を健康にし、仕事のパフォーマンスにも好影響を与えるとされています。効率よく良質な睡眠をとることの大事さ…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。