PROFILE: 長谷川京子/「エスバイ」ディレクター

「トリンプ(TRIUMPH)」と長谷川京子がタッグを組んだ「エスバイ トリンプ(ESS BY TRIUMP)」(以下、EBT)が登場した。長谷川は2021年5月に自身がディレクションするランジェリーブランド「エスバイ(ESS BY)」をスタート。“自愛”をコンセプトに長谷川自身が身につけたいと思うランジェリーを開発しポップアップショップとECで販売している。昨年11月にアパレルなどが加わり、今後はベッドリネンや小物などの展開も予定するなどライフスタイルブランドへと進化を図っている。「EBT」が登場しても、「エスバイ」のランジェリーは販売を継続する。長谷川に「トリンプ」とコラボした経緯と目的、今後の「エスバイ」について聞いた。
「ファッションと下着、両方を極めたい」という思いから
長谷川京子(以下、長谷川):以前は「エスバイ」の運営はビジネスパートナーに任せていたが、昨年から自身でディレクションと運営両方に関わることになった。”自愛”という思想が軸にあるブランドだが、5年間継続してきて感じたのは、EC販売には認知を広げるのに限界があるということ。そのタイミングで「トリンプ」を紹介された。同ブランドが持つ認知度の高さや影響力を借りれば「エスバイ」の“自愛”の思想をより広げられると思った。同時に「トリンプ」は下着のスペシャリストなので、下着の部分を極めていけると考えた。
WWD:「EBT」と「エスバイ」2つのブランドで下着を展開するメリットは?
長谷川:「エスバイ」は、ファッションの1部としての下着の意味合いが強い。下着の機能性だけでなく、見え方の満足度や付け方の高揚感を大事にしている。一方で「EBT」は、下着の流儀を反映した機能性の要素が強い。「エスバイ」の販路はポップアップとEC、「EBT」は百貨店などの「トリンプ」の店舗やEC、「エスバイ」のECでの販売となるため、より幅広い層に商品に触れてもらえる。だから、「EBT」を入り口に「エスバイ」の存在を知ってもらうこともあれば、その反対もあると思う。
WWD:大手下着メーカーのトリンプとコラボした感想は?商品開発で苦労した点などは?
長谷川:以前は、下着をファッションの1部として見ていたが、「トリンプ」が持つさまざまな下着特有の技術力は本当に素晴らしい思った。下着作りはファッション以上に複雑な技術が必要で開発にも手間がかかるため、私にとっては毎日が勉強。「エスバイ」は“自分を愛する”という思想をどう私らしく表現できるかという点にこだわってきたが、「トリンプ」とのコラボは、売上高も重要。スタイリッシュなものを作りたいので、下着の面積をできるだけ削りたいが、実際多くの方々に手に取ってもらえるにはどうしたらいいか、落とし所を見つけるのに苦労した。
WWD:今後「エスバイ」の下着が「EBT」と統合する可能性は?
長谷川:それは予定していない。
「エスバイ」を商品や体験、人がつながるプラットフォームに
WWD:今後リブランディングした「エスバイ」の展開は?
長谷川:下着は自分の肌に一番近いもの。きちんと自分の好きなものを身に着けることで自分を大切にするというのが「エスバイ」のコンセプト。今秋から展開するリネンも同じ意味合いを持つが、今後は、洋服と小物系はもちろん、日常の中で触れるものに商材を広げていくことで、ブランドの世界観を深めたい。ワクワク感も大事だが、ビジネスとのバランスを考えながらじっくりと事業展開していくつもりだ。
WWD:今後「エスバイ」をどのように成長させたいか?
長谷川:ショールームやアトリエを作りたいし、ライフスタイルブランドとして確立したい。それぞれのカテゴリーにおいて、デザイナーなどのクリエイターと一緒にものづくりをしていき、その輪が広がって行けばいいと考える。最近ポッドキャストも始めたので、好奇心と探究心を働かせながら意外性のあるコラボや商品など何でもできるおもちゃ箱のようなものにしたい。ムードを軸に商品や体験、人が積極的につながるプラットフォームを作りたい。コラボするのは、ブランドや企業、自治体など、さまざま。今は、ブランディングのための種まきの段階だ。