ウェルネス事業をグローバル展開するアデランスが、インナーブランド「ラフラ ルニカ(RAFRA LUNICA)をローンチした。乳がん患者に寄り添うインナーとして、“片胸用ブラ”と“前開きブラ”を2月23日に発売。“片胸用ブラ”は、乳がんにより右胸の全摘出手術を受けたタレントの梅宮アンナとの共同開発で、彼女の実体験がベースとなっている。商品発表会には梅宮が登壇し、開発の経緯や商品に込めた思いを語った。
乳がん患者の5年生存率は88%以上
アデランスが乳がん患者用の下着をを開発した背景には、乳がん患者数の多さがある。1月に厚生労働省が公表した「2023年全国がん登録罹患数・率報告」によると、23年に新たに乳がんと判断された患者数は約10万2000人で、女性の部位別患者数では最多に。一方で、「2018年全国がん登録5年生存率報告」によると18年に乳がんと診断された患者の5年後の生存率は88.4%となっており、治療中や手術後患者の生活の質の向上がより重要となっている。
同社は、治療による髪の悩みをサポートする医療用ウィッグブランド「ラフラ(RAFRA)」を05年から展開しており、同ブランドを医療事業の総合ブランドとして昇華させる一環として、インナーブランド『ラフラ ルニカ』をスタートした。商品開発には、がん罹患経験のある社員も参加した。ブランド名はルナ(月)とメディカル(医療)を掛け合わせた造語で、「回復への道を月明かりのようにやさしく照らす光でありたいい」との想いから名付けられた。
右胸がないと分かる服をあえて選んで登場
“片胸用ブラ”を共同開発した梅宮は、自分でセレクトしたという白のミニワンピースで登場した。バスト下にギャザーが入っており、右胸が切除された状態がはっきりと分かるデザインだ。「通常だと、胸を再建したり、パッドを入れたりすることが多いが、私自身はその必要がないと思う。必ずしも胸がないことを悲しいと思う人ばかりではなく、それぞれの選択でいいのでは。それを伝えるために、右胸ががない状態が分かるデザインのものをあえて選んだ」とその意図を語った。
右胸の全摘出手術を受けた後については、「術後1年間は、脇のリンパ節を摘出したので、手は上がらないし、後ろに回すこともできない。何をしても痛かった。痛みから眠れなくなり、睡眠導入剤を使うこともあった」と話す。
SNS発信がきっかけで共同開発に発展
手術後は縫い目がないシームレスタイプのブラジャーを着用するも、「痛みが強く、傷口に生地が触れることが耐えられなかった」と言う梅宮。ノーブラで退院し、しばらくブラジャーを着けずに過ごしたが、切除していないバストのボリュームを支えるものが必要で、片胸でも着けられるブラジャーの必要性を切実に感じたと言う。「傷口に生地が当たらない片胸専用のブラを探しても、日本にはほとんど選択肢がなく、海外の商品ばかり。無いものは作るべきと考えた。このブラを必要とする人は少ないかもしれないが、1人でも『ありがたい』と思う人がいればいいと思った」と語った。SNSで自身の思いを発信したところ、それを見た下着メーカーから連絡があり、アデランスとの商品共同開発へとつながった。
“片胸用ブラ”のパッケージには、梅宮からの「このブラは無くした胸ではなく、勇気と未来を包むプレゼント」というメッセージがサインと共に記されている。最後に、「がん患者でも、ちゃんと生活ができるというメッセージを送り続けたい。サバイバーとも交流があり、いろいろな思いがある。少しでもいいから、このような活動を通して社会に貢献できれば」と語った。
病院内のコンビニや理美容サロンへも販路拡大
“片胸用ブラ”は、治療中のむくみも考慮しホックで調整できるようになっている。ガーゼを当てた状態でも着用でき、安定したホールド感とフィット感を追求した。ホックの位置は、術後のドレーン(排液管)の挿入位置や就寝中の寝返りを想定し、真横ではなく、少し手前に配置し、左右選べるようになっている。「入院中だけでなく、傷口を見せる外来の時にも使ってほしい」と梅宮。
“片胸用ブラ”と同時に発売された“前開きブラ”と同じく、なめらかな肌触りが特長のバンブーレーヨンを使用。全方位にストレッチするように編み方を工夫した。どちらも3300円と購入しやすい価格設定している。売り上げの一部は、公益財団法人日本対がん協会の「わわえみ基金」に寄付される。現在の販路は、アデランス直営の病院内サロン「こもれび」およびアデランス外見ケアECショップ「アデランスマイリー」で、将来的には、病院内のコンビニ、病院内に展開している一般の理美容サロンにも販路を広げていきたいという。