この記事を読んだ際、「いやいやLVMHが間接的に出資って、もちろん買収が視野に入っていますよ」と思いました。
「モンクレールの筆頭株主であるレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)会長兼CEOの立場をさらに強化」とあり、このダブルR、つまりルッフィーニ会長の投資会社が筆頭なのは納得なのですが、現在シェアが16.9%。なるほど。確かにこれは心配です。ちなみにLVMHはアルノー家(クリスチャン ディオールSEを含む)が株式資本の49.0%と議決権の64.8%を保有。盤石です。
今回はそのダブルRにLVMHが投資するので、「間接的」です。この投資によって、ダブルRのシェアが増えれば、それだけルッフィーニ会長の発言権が増し、敵対的買収などのハードルも上がります。その資金的お手伝いをLVMHがしたということです。
そして、この度、アルノー会長の次男、アレクサンドルがモンクレール取締役に就任です。
取締役は12人いるし、これからさらに増やすらしいので、そんなに騒ぎ立てることではないのですが、ここで感じるのは「可愛い子には旅をさせろ」。
なかなか競合企業の取締役になる機会ってないですよね。父親を筆頭にLVMH内で現代的帝王学を十分に学んでいるとは思いますが、ルッフィーニ会長は天才プロデューサー型。アルノー家次男にとっては、その経営手腕を勉強できる良い機会になると思いました。
一方、モンクレールにとっても、さまざまな条件を設けて、LVMHによる「突然の乗っ取り」を避けつつ、資金を得て、経営基盤を固めることができます。双方ウィンウィン。
とはいえ、油断は大敵。もちろん投資先として魅力を感じているわけで、今後モンクレールがさまざまなM&Aなどをしたりする中で、支配的ポジションに躍り出たりする可能性が全くないとは言い切れません。
果たしてLVMHは本当に「間接的少数株主」に甘んじるのか。アルノー会長の野心は、そんなものではない気がします。
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