ラグジュアリーブランドが値上げを続ける中、コスメやアイウエアが新たなエントリー商材として存在感を増している。特に3大コングロマリットは、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)がティリオス(THELIOS、2017年創業)、ケリング(KERING)とコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)はケリング アイウエア(KERING EYEWEAR、15年創業)を通して、傘下ブランドのアイウエアを製造・販売。ハンドバッグは50万円越えも珍しくない中、5万円前後のアイウエアは特に若い世代にとってブランドのタッチポイントとして機能し始めている。対する業界最大手のエシロールルックスオティカ(ESSILORLUXOTTICA)は、サフィロ(SAFILO)などからライセンスブランドを奪取しながら、レンズや眼底検査などを手掛ける企業を買収。さらには「シュプリーム(SUPREME)」を手に入れ、業界を驚かせた。今、アイウエア業界はどうなっているのか?概要をまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月31日号からの抜粋です)
「アイウエア業界の巨人」の異名を持つ、業界最大手のエシロールルックスオティカ。24年の収益は260億ユーロ(4兆3000億円)に達し、順調に成長を続ける。世界150カ国以上に販売網を持ち、傘下には20万人の従業員、650以上の運営事業、1万8000以上の店舗を擁する。ブランドは、「シャネル(CHANEL)」「プラダ(PRADA)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」「バーバリー(BURBERRY)」「ティファニー(TIFFANY & CO.)」「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」などのライセンスのほか、「レイバン(RAY-BAN)」「オークリー(OAKLEY)」などの自社ブランドを含む150。母体のルックスオティカは1961年に創業し、2018年にフランスの大手レンズメーカー、エシロールと合併した。以降もさまざまなブランドとライセンス契約を締結してポートフォリオを広げるほか、製造拠点、各国の眼鏡小売りチェーン、医療やAI分野に強いスタートアップなどの企業を買収し、事業規模とビジネスのバリエーションを拡大している。
そんな同社の近年のビジネス動向を読み解く上でカギとなる要素は大きく分けて二つ。一つは、ラグジュアリーをはじめとする、多彩なブランドポートフォリオによるファッション感度の高い若年層への訴求。もう一つは、アイウエアにテクノロジーを組み込み、医療分野からエンターテインメントに至るまで、消費者のさまざまな需要に応えるソリューションの提供だ。
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