ラグジュアリーブランドが値上げを続ける中、コスメやアイウエアが新たなエントリー商材として存在感を増している。特に3大コングロマリットは、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)がティリオス(THELIOS、2017年創業)、ケリング(KERING)とコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)はケリング アイウエア(KERING EYEWEAR、15年創業)を通して、傘下ブランドのアイウエアを製造・販売。ハンドバッグは50万円越えも珍しくない中、5万円前後のアイウエアは特に若い世代にとってブランドのタッチポイントとして機能し始めている。対する業界最大手のエシロールルックスオティカ(ESSILORLUXOTTICA)は、サフィロ(SAFILO)などからライセンスブランドを奪取しながら、レンズや眼底検査などを手掛ける企業を買収。さらには「シュプリーム(SUPREME)」を手に入れ、業界を驚かせた。今、アイウエア業界はどうなっているのか?概要をまとめた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月31日号からの抜粋です)
ラグジュアリーやデザイナーズブランドのアイウエアは長らく、複雑な製造技術と独特の販路や商習慣、何より医療機器としての側面を持つ商材の性格上、ルックスオティカやサフィロ、マルコリン(MARCOLIN)などのアイウエアメーカーとライセンス契約を結ぶことが一般的だった。そんな中ケリングが15年、自社ブランドのアイウエアのデザインから生産、ブランディング、セールスなどを内製化すべくケリング アイウエアを設立して業界に風穴を開ける。同社はサフィロとの20年にわたるライセンス契約を終了した「グッチ(GUCCI)」を筆頭に、「サンローラン(SAINT LAURENT)」や「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」などのアイウエアビジネスを順次手掛け、17年にはコンパニー フィナンシエール リシュモンとのアイウエア事業の連携を発表。リシュモンに株式の30%を売却して資本関係を深めながら、そのブランドポートフォリオに「カルティエ(CARTIER)」や「モンブラン(MONTBLANC)」「クロエ(CHLOE)」「ダンヒル(DUNHILL)」「アライア(ALAIA)」を加えた。ケリング アイウエアはこの際、フランスにあった「カルティエ」アイウエアの製造拠点を統合している。
これに対してLVMHは17年、マルコリンとの合弁でティリオスを設立。LVMHは後にマルコリンが保有していた株式を買い取り、100%子会社としている。
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