ビューティ
連載 エディターズレター:BEAUTY ADDICT 第85回

日本にこだわらずブランドの特性に合った国で成長

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コーセー(KOSE)が10年ぶりに海外ブランドを買収しました。詳しくは下記の記事をお読みください。

同社は10年前に米国発のメイクアップブランド「タルト(TARTE)」を傘下としましたが、それ以来の買収です。日本のビューティ企業が海外ブランドを買収しても軌道に乗せるのが難しく、その中で「タルト」は右肩上がりの業績で成長を遂げ、成功例として挙げられています。直近の1〜9月期の売上高は前年同期比27.9%増の522億円と好調を維持しています。ブランドを代表するアイテムのコンシーラーはもちろんですが、マスカラやリップなども支持が高いようです。好調の要因は商品力の高さもありますが、創業者のモーリーン・ケリー(Maureen Kelly)さんが今でもインフルエンサーに直接商品紹介するそうで、ブランドの熱量を直接伝えることでインフルエンサーが拡散。強みであるSNSを活用したソーシャル戦略を徹底し、主戦場の米国で存在感を維持しているわけです。

販売チャネルも北米を中心に欧州などで展開。日本はコーセーの旗艦店で扱う程度で本格展開していません。無理に日本で展開せず、得意とする市場で揺るぎない地位を確立しているのです。今回買収したタイ発の「パンピューリ(PANPURI)」も知名度の高いタイを中心にグローバルサウスなどで展開するとのこと。「タルト」同様にブランドの特性にあった市場でさらなる成長を期待するようです。

また、コーセーは化粧品以外のウェルネス領域を強化中で、ルームフレグランスやスパなども展開する「パンピューリ」がウェルネス価値を高める役割を担えるとしています。創設者のウォーラウィト・シリパーク氏も幼少時に祖母が生活に取り入れていたジャスミンをキー成分にモノ作りを行い、今でも全商品を監修しているそうです。創業者の熱量の高さは「タルト」に通ずるものがあります。

「元々『パンピューリ』の大ファンだった」と語る小林一俊社長。常々「高級ホテルやスパのアメニティーに当社の商品が選ばれないのを残念に思っていた」とも話します。「パンピューリ」はそこに対抗できるブランドでもあるようです。小林社長の舵取りでどう成長を遂げるのか楽しみです。

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