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連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第115回

ラグジュアリーブランドから、3万〜5万円台の「ファイン・フレグランス」続々の理由

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ラグジュアリーブランドから、3万〜5万円台の「ファイン・フレグランス」続々の理由

ラグジュアリーブランドによる、ハイエンド・フレグランスの開発が相次いでいます。先行するのは、「ディオール(DIOR)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」あたりでしょうか?ここに最近、「グッチ(GUCCI)」や「フェンディ(FENDI)」が参戦を表明しました。海外では、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」や「プラダ(PRADA)」なども同様の戦略です。こうしたブランドのハイエンド・フレグランスは、大体3万〜5万円台。価格帯には、フレグランスをライセンスではなく独自展開する「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「セリーヌ(CELINE)」のと同じ。百貨店のビューティカウンターや化粧品専門店よりむしろ、バッグやシューズ、ウエアを販売しているブティックで見かける機会の方が多いでしょう。ボトルデザインも、売り場も、もちろん香りも異なっています。

「グッチ」のハイエンド・フレグランスも手がけるコティの担当者は、ハイエンド・フレグランスを「ファイン・フレグランス」と称していらっしゃいました。「ファイン」とは、ジュエリーを語るときに用いられる言葉です。ラグジュアリー業界はジュエリーを安い方から、コスチューム・ジュエリー、ジュエリー、ファイン・ジュエリー、ハイ・ジュエリーと区別します。コスチューム・ジュエリーは、本物の石やパールを使わない数万円台〜のエントリー価格のジュエリーのこと。一方ファイン・ジュエリーは、比較的大ぶりだったり厳選の貴石だったりを用いている、数百万〜一千万円前後の商品を指すことが多いでしょう。つまり「ファイン・フレグランス」とは、いわゆるフレグランスとは、その位違う存在であることを意味しているのでしょう。

こうした「ファイン・フレグランス」の登場には、さまざまな理由があります。こと日本においては、コロナ禍に芽生えた「自分が好きな香り」を追求するムードが高まり、一部の消費者は高額でも、他の人とは違う香りを探しています。こうした方々は、従来の、ライセンスに基づき、広告をバンバン投下するフレグランスよりも「ファイン・フレグランス」を好むでしょう。

またバッグやシューズ、ウエアの値上げを続けるラグジュアリー業界は今、コスメをエントリー商材と位置付け、特にファッションとの親和性が高いフレグランスの開発を進めています。が、1万円前後のフレグランスと、30万円オーバーのバッグやウエアは、あまりに価格が異なります。3万〜5万円台の「ファイン・フレグランス」は、この間に存在する架け橋にもなり得るのです。

また、より原材料と調光にこだわった「ファイン・フレグランス」は、ブランドの「本物」感を高めることにも貢献するでしょう。
ラグジュアリー業界って、こうした商材のタイムリーな投入が本当に上手ですよね。

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