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「イケア」が都心出店を加速 背景に新型コロナによる“おうち時間”の増加も

 スウェーデン発インテリア「イケア(IKEA)」は、6月8日に初の東京都心店となるイケア原宿をオープンした。さらに年末には、渋谷の「フォーエバー21(FOREVER 21)」跡地に出店を予定している。今年2月には、渋谷に法人向け店舗であるイケア フォー ビジネスを開業するなど、都心への出店を加速している。


 今まで、イケアは、神奈川県・港北や千葉県・船橋など郊外の大型店が中心だった。家具だけでなく雑貨も取りそろえ、カフェやキッズルーム、駐車場完備の店舗はファミリー層の顧客が主体だった。都心への進出は、郊外ではアプローチしにくかった若い世代を狙ったものだ。この数年、イケアは新しい顧客層の獲得に積極的に動いていた。17年4月の自社EC開始を手始めに、積極的なミレニアル世代の取り込みに着手する。同年8月の時点で売上高に占めるEC比率は5%になり、数年以内に比率を20%に伸ばすという目標を掲げた。また、ミレニアル世代の心をつかむコラボレーションを続々と発表。「オフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」と「イケア」のアイコンショッパー“フラクタ”のコラボに始まり、19年にはアブローとのコラボ家具“マルケラッド”を発売するなど継続的に協業している。18年には、米ロサンゼルス発ストリートウエアブランドの「スタンプド(STAMPED)」とコラボし、スケートボードやキャップなども発売するなど、ミレニアル世代に響く施策を立て続けに打ち出してきた。アブローとのコラボは大成功を収め、「イケア」はミレニアル世代が注目するべきブランドのポジショニングを得た。


 市場環境もイケアの追い風になる。新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの人が自宅で過ごす時間が長くなった。消費者の関心は、ファッションや車などから"おうち時間"へ移っている。とはいえ、予算の関係で家具を新調するというケースはそう多くない。「イケア」は家具だけでなく、在宅勤務に役立つグッズをはじめ、アウトドア、キッチンなど、ライフスタイルに関連するものをほぼ網羅する。在庫さえあればECで購入可能だ。緊急事態宣言が解除され、徐々に店舗が開き始めたタイミングでのイケア原宿のオープンは、外出自粛で買い物に飢えた都心の消費者の注目の的になった。現在のところ、平日昼でも店内は大勢の客でにぎわい、レジには数十人もの長い行列ができている。同店では、一人暮らしの部屋など都心の小さいスペースに合う商材をそろえ、カフェや世界初のスウェーデンコンビニを併設するなど話題性もたっぷりだ。

 原宿店オープン直後の渋谷出店のニュースで、都心シフトを鮮明にした。原宿店は2層2500平方メートルだが、渋谷店は7層4800平方メートルと約2倍の広さ。2万平方メートルの郊外店には及ばないが、原宿店以上に家具や生活雑貨関連の品ぞろえが充実するだろう。原宿店も渋谷店も立地は抜群。家族だけでなく、都心在住のさまざまな消費者にアピールしそうだ。一方、日本のインテリア企業ニトリも17年ごろから、渋谷をはじめ新宿や池袋の百貨店内に続々と出店している。ニトリも郊外店中心だったが、都心に出店することで、都心のファミリー層や若い消費者の取り込みに成功した。それ以前は“わざわざ出かける”店だったのが、身近な店になり、家具から雑貨まで生活必需品を廉価で提供している。イケアの都心進出により、王者であるニトリや、あるいは無印良品とも競合する場面が増えていくことが予想される。

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