PROFILE: ジュゼッペ・コロット(Giuseppe Colotto)/ドットール・ヴラニエス フィレンツェCEO

イタリア発フレグランスメゾン「ドットール・ヴラニエス フィレンツェ(DR. VRANJES FIRENZE)」(以下、ヴラニエス)の表参道店が10月末にオープンした。同ブランドは1983年にフィレンツェで創業。創業当初は、小さな薬局として化粧品などを販売していたが、新たにホームフレグランスを開発し、同カテゴリーにおけるパイオニア的存在として業界をリードしている。同ブランドは、今年新たにオードパルファムのコレクション“フィレンツェ イン トランスレーション”を発売。2024年にロクシタン傘下に入り、さらに活動の幅を広げている。表参道店のオープンを機に来日したジュゼッペ・コロット=ドットール・ヴラニエス最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。
香りに可能性を感じいち早くホームフレグランスを開発
「ヴラニエス」は創業当時は、「アンティカ・オフィチーナ・デル・ファルマチスタ」という名称の薬局だった。もともとは、小さな研究所で化粧品などを開発していたが、ホームフレグランス市場に可能性を感じた創業者は2000年ごろから香りにまつわる商品の開発を始め08年、ブランドとして展開をスタートした。香水文化が根付いたヨーロッパでも当時まだ、ホームフレグランスという概念は存在しなかった。コロットCEOは、「創業者は、香水だけでなく、空間を香らせたいという需要があると予測し、ホームフレグランス事業にシフトした」と話す。最初に制作したトスカーナの赤ワインから着想を得たホームフレグランス“ロッソ・ノービレ”が大ヒット。20年以上にブランドを象徴する香りとして世界中で愛され続けている。“ロッソ・ノービレ”を始めとする洗練された香りにより「ヴラニエス」はホームフレグランスの市場を拡大してきた。
ホームフレグランス=「ヴラニエス」と言われる理由
現在、数多くのホームフレグランスブランドがあるが、ホームフレグランス=「ヴラニエス」というほど象徴的なブランドに成長した。その理由について同CEOは、「ビジネス的に重要な理論と消費者の感覚的な面、両方にアピールする要素がある。独創的で洗練された香りは他社がコピーしようとしてもできない。それら唯一無二の香りは、持続性に富んでいる点からも優位性が高い。また、視覚的に効果のあるボトルも大きなポイントだ」と話す。フィレンツェ大聖堂のドームが形状のボトルは、敢えて透明にすることで、フレグランスそのものの色を楽しめるようになっている。「ホームフレグランスは中身が見えないボトルが多いが、われわれは、淡い色から鮮やかな色までさまざまなカラーバリエーションを提案。それも人を惹きつける要素になっている。それが、香りの調度品として愛されている理由だ」と続ける。中には、色でフレグランスを選ぶ消費者もいるようだ。また、サイズも250mL〜5Lまで幅広く、小さな空間から大きなホールまで対応できるのも特徴だ。
3年以内に日本を世界一の市場へ
コロナ禍でホームフレグランスへの関心が一気に高まった。「売上高はコロナ禍でも伸長し、収益は19年の3倍になった。今年は、昨年の2ケタ増を見込んでいる」と同CEO。現在、75カ国で展開しており、ブランド単独店70店舗以上で販売する他、百貨店やセレクトショップなどへの卸も行っている。トップの市場は、イタリア、日本、中東だ。「イタリアと日本の差はわずか。日本市場には3年でイタリア市場を抜いてほしいし、5年間で現在の売上高を2倍にしたいと考えている」と同CEO。日本上陸は2007年。まずは卸中心に販路を広げ、単独ブティックの出店戦略で成長してきた。表参道店は15店舗目になる。「上陸初期は、東京エリアから石橋を叩いて出店してきたが、市場を把握できてからは出店を加速。そうすることで、市場におけるブランドとしての存在感を示してきた」。
グローバルでブランディングを統一し認知度をさらにアップ
ロクシタンの傘下になってからは、直営、ECをさらに強化。オードパルファムをスタートするなど商品カテゴリーを広げている。「傘下に入っても自由度が高いので、さまざまな取り組みを行う。『ヴラニエス』の認知度は既にあるが、ブランディングをグローバルで統一し、さらに認知度アップを図る。また、SNSを始めデジタルチャネルを強化し、フィレンツェ発ブランドであることをアピールしたい。フィレンツェは、ルネサンスの心地。洗練され新しいものが生まれる街の魅力を商品を通して肌で感じてほしい」という。イタリアブランドの多くがそのルーツを大切にするが、「ヴラニエス」にとって、“フィレンツェ発”ということが非常に重要で価値があることだという。そのためにも、ホームフレグランスだけでなく、香りを網羅したブランドへ発展させていく。「オードパルファムを皮切りに、ボディー関連のパーソナルケア関連の商品も充実させていく。ハンドソープやハンドクリームも年内に発売する」。