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有力セレクト2社の営業再開後の接客・売れ筋・MDを聞く ロンハーマン、エストネの対応策

 新型コロナウイルス感染症拡大を受けて臨時休業していたセレクトショップの店舗が、徐々に営業を再開しつつある。本来であれば春物が動く3~4月に臨時休業を余儀なくされ、季節をスキップするかのように初夏が到来。春夏の在庫問題や今後の納期遅れなどを念頭に、MDを再編成する必要も出てきている。ロンハーマン(RON HERMAN)とエストネーション(ESTNATION)に、営業再開後のMD、売れ筋、接客の課題などを聞いた。

ロンハーマンは春物を初夏MDにミックス

 ロンハーマンは、5月17日の名古屋店を皮切りに、カフェを併設する二子玉川店、福岡店などの営業を順次再開した。千駄ヶ谷店や商業施設の一部テナント店舗は休業が続いている。

 店頭では、3~5月に販売予定だったアイテムをミックスしてMDを再編成。コートなどの季節的に組み込めない商品を除き「これから活躍するアイテムや長く着られるアイテムがもともと多くそろえているのでこれらをミックスして提案していきたい」と広報担当者は語る。

 営業再開後の店舗で動きがいいのは、サマードレスやカットソー、シューズなど。別注品も好調で、ジュエリーは普遍的なアイテムとして需要が高まっているという。

 新型コロナウイルス感染予防や3密回避の接客のガイドラインには、全スタッフのマスク着用、定期的な検温、こまめな手洗い消毒の徹底などを盛り込んでいる。入店客と店舗スタッフの総数をカウントし、必要に応じて入場制限も行っていくという。今後の接客では「適度な距離を保ちながらも、必要なときにスムーズにお手伝いができるよう対応していきたい」と語る。

エストネーションは「プロパー商品のシェアを高めて、今後当たり前に」

 エストネーションは、5月16日の二子玉川店を皮切りに、20日から有楽町店、銀座店、福岡店などの営業を再開した。

 5~6月の店頭MDについては「当初から計画していた初夏MDがベースになる」と、藤井かんなウィメンズディレクターは言う。ただ、5月末に発売予定だったジャージー素材に特化したアイテム群は6月中旬にECと連動した打ち出しに変更するなど、企画や商品によっては約2週間から1カ月の後ろ倒しを計画している。

 3~4月に販売の機会を逃してしまったブラウスやブルゾンなどの定番品やシーズンレスアイテムの一部は、オリジナルを含め秋冬に向けてプロパーで再投入する。商品の納期遅れやキャンセルが心配されるなか、基本的にキャンセルをすることなく、シーズンレスで着られるアイテムを秋冬MDに柔軟に組み込んでいく。5月末には顧客対象のセールを予定しており「徐々にセールを押し出しつつ、在庫の消化、早急な現金化にもつなげたい」と語る。

 久々に営業を再開した二子玉川店では、オンオフで着られる華やかなデザインのワンピースが好調だという。また有楽町店や銀座店を含めて、営業再開でいち早く駆けつけてくれるのは、「再開おめでとう!とスタッフに会いに来てくれるお客さま」。感染予防のための細かなガイドラインは作成しているが、「接客や距離感の感じ方は人それぞれ。フリーのお客さまが増えてくればケースバイケースの対応が求められる」と課題を挙げる。さらに「これを機にECと店舗の統一を図れたら。一年を通して着られるもののシェアを高めて、それを当たり前にしていきたい」と語った。

 なお、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)は5月14日の二子玉川店と柏店を皮切りに、関東では各業態22店舗を時短営業でオープンした(21日時点)。トゥモローランドも5月11日の吉祥寺店を皮切りに、関東14店舗を時短営業でオープンした(20日時点)。

村上杏理:1986年、北海道生まれ。大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。「WWDジャパン」記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションやライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。1女児の母