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エルメス、19年度も増収増益で絶好調 しかし今後は新型コロナウイルスの影響も

 エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2019年12月通期決算は、売上高が前期比15.3%増の68億8300万ユーロ(約8259億円)、営業利益は同9.9%増の23億3900万ユーロ(約2806億円)、純利益は同8.7%増の15億2800万ユーロ(約1833億円)と増収増益だった。

 地域別での売上高は、日本以外のアジア太平洋地域が同20.8%増の25億8960万ユーロ(約3107億円)、日本は同15.4%増の8億6400万ユーロ(約1036億円)だった。フランス以外のヨーロッパは同8.6%増の12億190万ユーロ(約1442億円)、フランスが同8.1%増の8億6730万ユーロ(約1040億円)だった。南北アメリカは同17.2%増の12億4070万(約1488億円)、その他の地域は同11.0%増の1億2000万ユーロ(約144億円)と全ての地域で増収だった。

 カテゴリー別の売上高は、レザーグッズが同14.7%増の34億1430万ユーロ(約4097億円)、衣料・アクセサリーが同20.1%増の15億7420万ユーロ(約1889億円)、シルク・テキスタイルが同10.3%増の5億9250万ユーロ(約711億円)、香水が同4.5%増の3億2590万ユーロ(約391億円)、ウオッチが同14.7%増の1億9340万ユーロ(約233億円)だった。

 アクセル・デュマ(Axel Dumas)最高経営責任者(CEO)は、「全ての事業が全ての地域でバランスよく成長し、19年度も素晴らしい業績を上げることができた。これは当社の優れたクラフツマンシップと豊かなクリエイティビティー、そして統合された販売網のおかげだ」と語った。

 新型コロナウイルスの影響で、エルメスもやはり中国の店舗を一時的に休業している。2月半ばごろには中国本土で11店を、マカオで4店を休業していたが、徐々に営業を再開しており、現在中国本土で休業しているのは4店のみとなった。なお、大人数が集まる場所は避けたいと考える消費者が多いことから、路面店よりもショッピングモール内にある店が打撃を受けているという。デュマCEOは、「20年1月末の時点までは売り上げも好調だったが、新型コロナウイルスの影響で春節(旧正月)の旅行をキャンセルする中国人観光客が相次いだため、そこから大きく下降している。具体的な数字については20年4~6月期(第2四半期)決算が出るまでは分からないが、営業を再開した店舗も営業時間を短縮している上、現時点では客足もまだ戻っていない」と述べ、影響が避けられないことを示唆した。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、世界中でさまざまなイベントがキャンセルされているが、エルメスはマーケティング費用を縮小しないという。同氏は、「マーケティングは顧客との重要なコミュニケーション手段だ。特にビューティ分野でのマーケティングを減らすことは考えていない」と話した。なお、エルメスは香水に続く化粧品事業であるメイクアップラインの第1弾「ルージュ・エルメス(ROUGE HERMES)」コレクションを3月4日に35の国と地域で発売する。

 “世界の工場”である中国で新型コロナウイルスが猛威を振るっていることから、多くの企業が生産面でも影響を受けている。ヨーロッパでも急速に感染が拡大しており、中でもイタリアで感染者数が急増している。しかしデュマCEOは、「ウエアとシューズをイタリアで生産しているものの、製品の80%はフランスで生産している。現時点で当社のサプライチェーンに問題はない」と説明した。

 消費者からの高い需要に応えるため、エルメスは19年9月の時点でフランス国内にレザーグッズ専門の工房16カ所と、拡張が決定しているテキスタイル専門の工房を含めて42カ所があるほか、世界各地に十数カ所の工房を構えているが、20年には新たに2カ所の工房がオープンする。今後もこうした工房への投資を長期的に継続していくという。

 エルメスは18年に中国でも自社ECサイトを立ち上げており、予想以上の成功を収めているとデュマCEO。このため、中国のECプラットフォームで香水などの特定の商品を販売することや、メッセージサービスのウィーチャット(微信、WeChat)上にポップアップサイトを展開することを検討していると同氏は語った。