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ZOZO前澤氏の「人財投資家としての功績」 ヤフーの連携施策も予想 ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「カリスマ去る どうなるZOZO」

読み解きポイント:「人財投資家としての前澤氏について考える。ヤフーの狙いは、親会社ソフトバンクのスマホユーザーの送客とフルフィルメント強化か?」

<ニュースのポイント>

 ヤフーがZOZOをTOB(株式公開買い付け)により子会社化することを発表。ZOZOの創業者、前澤氏は、持ち株の大半の売却に応じ、約3000億円の売却益を得て、社長を辞任。ヤフーは、広告事業の一本足打法から脱却しコマース事業を強化。前澤氏は今後、「宇宙渡航と新規事業」という2つの新しい道に進みたいとのこと。

<CKRはこう読む!>

 「100名様に100万円、1億円プレゼント企画」。記憶に新しい、ZOZO創業者の前澤氏がTwitterを通じて実施したお年玉キャンペーンです。当選者の多くは、アートやクリエイティブな活動に携わっている人たちだったと言われています。計画中の月旅行にも、6~8人のアーティストを連れて行きたいと話しています。ヤフーへの株式売却に際しては前澤氏に対して、借金の担保とした株式の強制売却を迫られたのではというネガティブな憶測も広がりましたが、今回は「人財投資家としての功績」について考察したいと思います。

 「基本給とボーナス全員同額支給」「1日6時間労働」「FRIENDSHIP手当」「自学手当」「点数による人事考課廃止」「上司の判断で毎月昇格可能」。ニュースで耳にしたことのあるZOZOの人事制度です。記者会見でも「社員は家族」と話していたとおり、絆を重んじる企業風土を体現しています。「個人毎ではなく、みんなで」「定期的に管理するのではなく、常に自主的な行動を尊重」「足を引っ張り合うのではなく、互いの成長を讃え合う」。施策後の労働生産性(1日あたりの売り上げ÷1日あたりのスタッフの総労働時間)は、25%上昇したと言われています。

 当たり前を疑い、働くということのパラダイムシフトに挑戦してきたことは、業界を超えて大きなインパクトを与えました。

 ZOZOは、正規社員1094人に対し、臨時雇用者が2298人います(2019年3月時点)。19年5月、前澤氏は「日本一のアパレル倉庫へ」と謳い、「最大3割増となる時給1300円、2000人採用、履歴書不要、未経験でも応募可」という機会拡大に取り組み、応募殺到により2日間で募集停止となりました。

 前澤氏が推進してきた施策への反応からわかることは、硬直化する日本のビジネス環境の中で、「今こそ人を信じて、成長機会を促す、ワクワクした取り組みをもっと始めてみよう」ということかもしれません。

 以前つぶやいた「離職率3% 驚異の低さを誇るビームスで気になること」で気になったのは、個人指名でオファーをいただく社員の個性、才能を生かす「ビームス事務所(仮称)」という施策です。

 「WWDジャパン」にはぜひこのタイミングで、人財投資・育成に関する特集を企画して欲しいところです。われわれの知らない企業のハッとする施策の中に、「なるほど面白い、いいね!」という、活用推進したいヒントが隠されているかもしれません。

 最後に少しヤフーから見た、今後のZOZOとの連携施策で重要になりそうなポイントを記したいと思います。

 「ZOZO vs ファーフェッチ 原価率&単価比較で考える」でつぶやいたとおり、国内ビジネスを主軸とするZOZOの収益増に向けた課題は、「販売量(一人あたりの購入数、顧客数)」をいかに増やすかということです。

 しかし今回、ソフトバンク傘下ヤフージャパンとの資本提携発表の中で説明のあった「爆増!ヤフーが強みをもつ30-40代の男性をZOZOへ送客する」には、少し違和感を覚えました。Yahooニュースを見る40代の男性は、ZOZOで服を積極的に買うのかな?

 真の狙いは以下の3つではないでしょうか。

① 約3400万件あるソフトバンク移動通信契約数を強みに、スマホユーザー向けポイント10倍特典をフックとして、20〜30代の女性を中心にZOZOへ送客。ヤフーではなく親会社であるソフトバンクとの連携施策でもあり、今回の記者会見での言及は避けたと思われます。

② ZOZOのフルフィルメントを活用し、「良いお店」が売れる仕組みを強化。ヤフーでは「良いお店」の評価指標の一つとして、出荷の速さ(上位500店は、0.9日で出荷)を挙げています。配送代行として新たな手数料率を設定し、迅速なデリバリーを通じた顧客満足向上を狙うと思われます。

③ 数年後、国内ECナンバーワン達成による自社株価上昇への期待。ヤフーのeコマース取扱高は19年3月期に2兆1000億円を超えました。ZOZOの3200億円が加わり、楽天の3兆4000億円へさらに一歩近づきました(ちなみにアマゾンジャパンの国内流通総額は非公開です)。ヤフーは国内ECナンバーワン達成に向け、もう一社、大きな買収などを仕掛けてくるかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中