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退任後は月旅行に新規事業 ZOZO前澤前社長の今後を知る一問一答

 「Yahoo!JAPAN」を運営するヤフーは12日、同日朝方発表したZOZOの買収に関する記者会見を行った。会見にはヤフーの川邊健太郎社長とZOZOの澤田宏太郎新社長、そして前澤友作前社長の3人が登壇。前澤前社長が自身の今後について「新しい道に進みたい」と説明した。会見の終盤には提携のきっかけを作ったという孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長がスペシャルゲストとして登場した。「当分は前澤さんが社長をやったら?とも言ったが、前澤さんは『スッパリ辞めたい』と。『訓練もしなければいけないし、彼女とも楽しく生きたいし』と言ってました。うらやましい限りです」と語り、会場の笑いを誘った。ZOZOの買収は朝から大きな話題を呼んでいたこともあり、会見には多くのメディアがつめかけ、質疑応答では前澤社長の今後についての質問が殺到した。本記事では、記者団からの前澤前社長への質問とその回答をまとめて掲載する。

―前澤氏の借金について。今回のヤフーへの売却にどの程度影響したのか。自力で返そうとしていたのか、それが無理だからZOZOを売却したのか。

前澤友作(以下、前澤):高額品を買う際に、借金やローンをする方も多いと思いうが、ゼロが何個か違うだけで、それと一緒。使用用途は宇宙の渡航チケットや現代アートなどで、自分の信用の範囲、人に迷惑をかけない範囲で借金をしていた。宇宙渡航によって得る体験や人脈はかけがえのないものだし、現代アートは購入後価値が上がっており、得るものも多い。そうして作った借金は、アートなどの現物資産を売却して返せばいいだけ。借金のせいで首が回らなくなって、提携したというのは憶測にすぎない。

―ここまで成長させてきたZOZOに愛着もあると思うが、その社長を退くことに対して、どういう気持ちなのか。後悔はしていないのか。

前澤:これは悩みに悩んだ。無責任なのではないか、と言われることも予想していたし、ネット上で実際にそう書かれている。しかし、自分の地位や権力に甘んじて、ZOZOの事業拡大や成長を見過ごす経営を行うことこそが無責任だと思う。ZOZOは成長にあたり一つの課題を抱えている。それはこれまでの自分のワンマン、トップダウン経営もその一つ。ZOZOはもっと社員それぞれの個を生かしたチーム力や総合力を磨かなければならない。そういう意味で後継者である澤田新社長にZOZOを譲り、さらなる成長を遂げていく。苦渋の決断だったが、退くことにした。よく「経営者は孤独」と言われるが、個人的にはそんなことはないと思ってきた。しかし、社長退任という最後の決断を一人で悩んでいた時に、孤独を感じた。

―「新しい道に進みたい」とのことだが、具体的に考えていることは?

前澤:考えているのは2つ。1つ目は宇宙渡航だ。2023年に月に行くが、それよりも前に宇宙に行く予定がある。外国語の勉強や、トレーニングもしなければならない。2つ目は新規事業をしたいということ。社会や人の役に立つビジネスをやりたい。もう43歳で頭も鈍っているので、早めに取り掛かりたいなと思っている。まだ決まっていないが、チャンスがあれば事業に積極的に取り組んでいきたい。

―孫氏が提携のきっかけを作ったとのことだが、それはいつ頃のことか?また、ソフトバンクではなくヤフーと組むことに対してどう思ったのか?

前澤:時間軸は正確性を欠くため話さないが、孫さんに「もっとロックに生きたい」と相談したところ、ヤフーの川邊さんを紹介してもらった。そこで川邊さんから提携の話が出た。ヤフーとはいろいろな提携の話をさせていただき、議論を重ねて今回の提携に至った。

―今日の率直な気持ちは?

前澤:正直実感はまだわいていない。今日は朝8:45に提携と退任の情報を開示した。7時には出社して、社員たちと思い出話をしていた。この後社員を集めて、改めて自分の口から説明はする。社員の話をすると本当に感極まってしまう。辞めていく分際で何を言ってるんだ、何を古臭いこと言ってるんだとも思われるかもしれないが、社員は本当に家族だと考え、創業から21年間やってきた。それを思うと……(涙ぐむ)。今日のために普段は持っていないハンカチを持ってきた(笑)。これ以上は勘弁してください。

―“Let’s Start Today”のメッセージが書かれたTシャツを着てきた理由は?

前澤:創業以来、毎日が始まりだと思っていた。日々、社会や人の役に立とうと進んできた。今回の提携で、ZOZOとは別々の道を歩むことになったが、ZOZOにとってスタートトゥデイという名前は非常に重要な意味があるし、僕にとっても非常に大切。毎日が始まりだというシンプルな考え方をもとに、これからもお互いに一生懸命生きて、一歩一歩楽しい人生を歩んでいければいいなと考えてこのTシャツを着てきた。

―孫氏からは彼女の話もあったが、交際は順調か?

前澤:今日は資本業務提携の話なので、プライベートの話は別の機会にしようと思う。

―彼女に今回のことを相談した?

前澤:今回は誰にも相談していない。先ほど「経営者は孤独だと感じた」と言ったように、実の家族にも相談せず、一人で悩み抜いた。

―今後は第二の人生ということで結婚もあるのでは?

前澤:今回の会見とは全く関係がないので(笑)、回答は控えたい。

―新事業に関して。すでにやりたいことはある?社会に対してどのようないい影響を与えたいと考えている?

前澤:やりたいことは困っている人を助けたり、不便だと思われることの解決に着手したい。「ゾゾタウン」を始めた時も、遠方でなかなか服を買えない人や、試着が苦手な人などのためにスタートさせた。そういったユーザー意識からビジネスを行うのが得意でもある。その考え方は変わっていない。

―社長人生を振り返って、ZOZOだけに一番“ゾゾっ”としたことは?

前澤:(笑)。真面目に答えると、ミュージシャンをやりながら、プログラミング・エンジニアリングなどを全てやっていたことがある。その当時、サーバーのアップデートをした時に、サーバーがクラッシュし、お客さまのデータなど全てを失いかけた。あの時は“ゾゾっ”としたが、幸いなことに前日に自動バックアップが働いていて助かった。それがあったから今のZOZOがある。

―社長を退任しようと思ったのはいつ頃?また、どういった理由で?

前澤:ズバリ9月に入ってから。先ほども話したが、今後ZOZOが成長していくために必要なものは何かを考えて辞任に至った。最初は続投のリクエストを受けていたが、そこは持ち前の直感で、このまま数年・数カ月いてもいいことはないと感じ、急きょ辞任することになった。

―冒頭の質問と関連するが、これまで金融機関に入れていた担保は2000億円を超えると言われている。月の旅行が100億円、現代アートも「バスキア」が123億円ほどと見られており、計算が合わないが、何にそんなにお金が必要だったのか?

前澤:なぜ、僕が買ったものを全部言わなきゃいけないんですか?という話で、他にもいろいろと買っている。発表しているのは一部で、それ以外にも多くのものを買ったり、提携に使ったりしている。あとの計算はご自由に。