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ZOZO VS ファーフェッチ 原価率&単価比較で考える ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDジャパン」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.15「業界のミカタ ZOZOの決算書から学べること」

読み解きポイント 「この5年で、取り扱い商品の単価が3割下落したZOZO」
改めてブランドを立て直すのか、低単価でマスマーケット拡大を狙うかの分岐点。

<ニュースのポイント>

 企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている決算書を「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」の著者が解説。今回はZOZO。直近の課題は、1品単価が下がり、受託ビジネスの手数料収入が減っていること。粗利率の高いPB(プライベートブランド)に取り組むものの厳しい船出。出荷1件、会員1人あたりの数字をKPI化し、顧客にフォーカスした経営管理をしているのが特長。

<CKRはこう読む!>

 「85%」。売上高ベースでみたZOZOTOWN事業(受託ショップ、買取ショップ、ZOZOUSED)における、受託ショップビジネスの割合です。ZOZOの主軸である受託ビジネスは、販売手数料が収益となり、「販売単価×販売手数料率×販売量」によって数字が決まります。

 2014年度、5595円だった商品販売単価は、19年度第1四半期には3877円まで下落しました。低単価ショップが増えたこと、割引キャンペーンを実施したことが要因として考えられます。販売手数料率を上げることは、ショップ・ブランドの離散を誘引するため、容易ではありません。つまり販売量(一人あたりの購入数、もしくは顧客数)を増やすことが、今の受託ビジネスの成長には必要となります。

 今回は、以前紹介した、同じマーケットプレイス型ビジネスを主軸とするファーフェッチ(FARRETCH)の状況と比較しながら、ZOZOの今後について考察したいと思います。

 受託ビジネスは、モノ作りをせず在庫を持たないため、通常、売上原価率は低いです。ZOZOは、8.7%(約20億/260億円、2019年度第1四半期)ですが、ファーフェッチは49%です。ファーフェッチは、グローバルでビジネスを手掛けており、関税・配送料の負担が重いと思われます。

 ZOZOが顧客増を狙って、海外にビジネスを広げる場合、関税・配送料の負担を考えると、利益をしっかり稼ぐことは、簡単ではありません。また、一人あたりの購入数を一気に増やすことも難しく、ゆえに受託ビジネスではない、PBビジネスに乗り出したことは記憶に新しいところです。とはいえPBビジネスは、ショップやブランドからすると面白い話に見えないため、ショップの離散を招く可能性があります。

 本号別記事「ファーフェッチCEOが語る高級品リテールの未来」にもありますが、ファーフェッチの平均購入単価は、600ドル(約6万3600円)と非常に高いです(1オーダーあたりの平均単価なので、商品単価ではありません)。ファーフェッチは、ラグジュアリーブランドを揃えるプラットフォームとして一貫しており、出店ブランドにとっても相互送客できる顧客層のバランスが取れており、魅力があります。ニューガーズグループ(NGG)買収で話題性のあるブランド、クリエイターのラインナップも強化しました。高級ブランドの実店舗と顧客情報を連携し、ハイエンド顧客の体験をいかに高めるかという視点でパーソナル化戦略も進めています。

 安く服が買えるECのZOZOが、今後ブランドとしての世界観を作り直し、今までにない顧客体験を創造できるかが、さらなる成長のカギになるかもしれませんね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中