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ファッションがAirPods Proに学ぶこととは? ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、先週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.3「クローゼットから考える」

読み解きポイント:最適化するだけでなく、プラスアルファの新体験こそ、Spark joy!

ニュースのポイント

 消費者のクローゼットは服で溢れている。店頭に新作を並べて、「買ってください」では対応できない状況だ。例えば、ザラ(ZARA)は、誰もが持つベーシックな服に、追加で流行を取り入れる提案に長けている。ワールド傘下のラクサスは、一般家庭に眠るバッグ(総額3兆円)を仕入れ、流通させることを狙っている。クローゼット起点のビジネスは、まだ緒についたばかりである。

CKRはこう読む!

 「溢れかえったクローゼットを最適化する」。たしかに大切な視点です。ザラが「ベーシック+α(アルファ)」で提案する上手さも納得です。ただ考えるべきは、「最適化の先にある、もう一手」なのではないでしょうか。そこに顧客が体験したことのない感動、“Spark joy”があると思うのです。

 今、入荷1カ月待ちで、フリマ価格が新品価格を上回る商品があります。「AirPods Pro」、10月30日に発売されたばかりのワイヤレスイヤホンです。100万台/月の生産では、需要に追いつかない状況です。

「ケースを開けたら、自動で接続する」

「耳から落ちず、装着の違和感もない」

「音質にクセがなく、満足できる」

「ノイズキャンセリングで、騒音が消える」

「外音も自然に取り込める」

 一つひとつの特徴を見ると、他にも優れいているイヤホンはあります。しかし、トータルバランスが良いのです。そのため同種の商品が溢れる中、「迷ったらAirPods Pro」というポジションを作ってしまいました。

 バランス良く最適化された先にある、「もう一手」が「一日中、着けていたい」と思える点です。音楽を聴いてリラックス。そのまま仕事に集中したくなれば、本体の軸をつまむだけ。すると一瞬にして静寂の世界が広がります。イヤホンをつけるだけで、気分の高揚、意識の集中、周囲の状況確認、さまざまな世界を行き来できることに、人は感動するのです。

 近い将来、Appleは「人の耳」という場所を押さえてしまう可能性があります。また音は、さりげなく重畳して人の時間を奪う特長があります。音楽を「聴きながら」料理をするようにです。

 可処分時間が限られる中、Appleにとって顧客接点を深める一手でもあるのです。

 今、ファッション業界に求められているのは、AirPods Pro的な視点なのかもしれません。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中