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エアークローゼットは2つのサブスクで成長か? ITのプロ「WWDジャパン」最新号につぶやく

 大手通信会社に入社後、国内外でITソリューションを提供するビジネスマンが、今週のファッション週刊紙「WWDファッション」で気になったニュースを要約してお届け。最先端のテクノロジーから企業と、その利用者が必要とするものについて考え続けたITのプロ、CKRが未来的視点からニュースにつぶやきを添えます。

今日のニュース:P.4「服のレンタルエアクロ、上場視野に」

読み解きポイント コンシューマ向け&エンタープライズ向け、2つのサブスクリプションビジネスで成長にアクセルか

ニュースのポイント

 女性向けファッションレンタルサービスのエアークローゼットが、株式の新規上場の準備を着々と進めている模様。会員数、売り上げ共に前年比約60%増と堅調。今後の成長を支えるカギの一つが、レンタルサービスの外部ブランドへの開放。別途システム開発が必要となるため、まずは各ブランドからアイテムを預かり、委託としてレンタル事業を展開。従来の来店でなく、レンタルを通じた試着体験を増やすことで、各ブランドとのパートナリング強化を行なっている。

CKRはこう読む!

 「新しいモノや自分に出合えるコンシューマ向けサービス」と「エンタープライズ向けのレンタルプラットフォーム提供」。異なる2つサービスで、さらなる成長を予感させるエアークローゼット。それぞれのサービスには、サブスクリプションモデルならではの魅力が詰まっていそうです。

 コンシューマ向けサービスにおいては、同社所属のスタイリストが選んだ服をレンタルすることで、新たな着こなしや服に出合い、気軽なファッション体験を楽しめます。また利用者からのフィードバックによりミスマッチが修正され、長く使えば使うほど最適化されるのは、サブスクリプションサービスならではの特長です。利用者と良好な関係を継続することで、ビジネスとしても安定した収益化が可能になります。ネットフリックス(Netflix)やスポティファイ(Spotify)もまさに、そうですよね。

 顧客とのエンゲージメント強化や、サステイナブルが叫ばれる今、さまざまなファッションブランドが、新たな顧客体験の創造の場として、エアークローゼットのレンタルプラットフォームに注目しているのではないでしょうか。

 一方、今後期待の高まるレンタルプラットフォーム開放において重要なのは、利便性が高くデファクト化されたシステムを、毎月リーズナブルな価格で費用化できると、利用企業に感じさせることかもしれません。アドビシステムズ(Adobe Systems)のAdobe Creative Cloudや、マイクロソフト(Microsoft)のOffice365は、アプリケーションがデファクト化しており、「製品売り切り」から「サブスクリプション型」に移行しても顧客離れを起こさず、上手に収益化できました。レンタルプラットフォームを利用企業の業務プロセスに組み込むことができれば、中長期に渡って収益化できるビジネスとして期待できそうです。

 一方レンタルプラットフォームを利用する各ブランド企業は、自社の特長を理解し、何のために実施するのか考える必要があります。仕組みとしてのレンタルとサブスクリプションを導入すれば、新たなビジネスを創造できるという単純なものではないからです。

 ファンエンゲージメントが高いブランドなら、自社ブランドの商品ラインナップだけで顧客満足を高められるかもしれません。しかしレンタル試着を通じてブランドのファンを増やしたい場合は、すでに顧客ベースのあるエアークローゼットのレンタルサービスに商品提供する方が得策かもしれません。

 売ったら終わりでなく、使ってもらうのが始まりという空気が広がる中、今後のエアークローゼットの動きに注目したいですね。

CKR Kondo : 大手通信会社に入社後、暗号技術/ICカードを活用した認証決済システムの開発に従事。その後、欧州/中東外資系企業向けITソリューションの提供、シンガポール外資系企業での事業開発を経験。企業とその先の利用者が必要とするもの、快適になるものを見極める経験を積み、ウェアラブルデバイスやFree WiFiを活用したサービスインキュベーションを推進。現在は、米国、欧州、アジア太平洋地域にまたがる、新たなサイバーセキュリティサービスの開発を推進中