ファッション

「好かれるか、嫌われるか。それでいいの」 エディターズレターバックナンバー

※この記事は5月31日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「好かれるか、嫌われるか。それでいいの」

 2020年プレ・スプリング・コレクションのランウエイショーは終盤戦。「グッチ(GUCCI)」のアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が、物議を醸しそうなコレクションを発表しました。人工中絶に対するスタンスを問うたのです。 “女性の産まない権利”を擁護するスタンスであり、オピニオンを表明したミケーレ。「固有の人種・民族における伝統的な衣装を揶揄しているのでは?」という“炎上”が続く中、これほどまでにセンシティブなトピックスに足を突っ込んだ勇気に拍手を送ります。

 「好かれるか、嫌われるかのどちらか。それでいいの」――。そんな“覚悟”を持った経営者・クリエイターが増えています。先日このニュースレターでもお届けした「テンデンス(TENDENCE)」の創業者がそうでしたし、大阪に出張した昨日はリシュモン傘下の時計ブランド「ロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)」の女性ディレクターが、全く同じ言葉を発しました。「ロジェ・デュブイ」は、Dare to be Rare(独特であるため、大胆であれ)がコアバリュー。彼女自身はとても優雅で物腰の柔らかい女性でしたが、「一番怖いのは、無反応。好きでも嫌いでもエモーションが喚起できれば」との言葉には強さが滲んでいました。

 このニュースレターはまだまだヨチヨチ歩きですが、なぜこんなパーソナルな“お手紙”を送ってみようかと決意したかと言えば、まさに「エモーションを喚起したい」からです。もはやモノでの差別化は難しい時代、おそらく唯一の方法は、そこに感情を込め、共感を誘えるか否かであり、こんなパーソナルな“お手紙”は詰め込んだ感情を知っていただく上での動線になるのでは?と考えたからです。その意味でこの“お手紙”は、通常の記事よりさらに1歩、僕の場合はデジタル編集者としてファッション&ビューティ業界の最前線を覗き続けたいと願う自分のエモーションを押し出しています。正直、“お手紙”から得るファクトは少ないでしょう。押し出すエモーションの結果嫌われるかもしれないし、反論もあるでしょう。でも、それで良いし、そうあって欲しい。そのフィードバックをいただき前に進むことで、私たちは、今まで以上に皆さんと強い絆で結ばれたいのです。「好かれても、嫌われてもいいの」という首脳たちの思いと同じです。

 その意味において「エモーション」を喚起する魅力的な人が続々出てくる今を、非常にエキサイティングに楽しんでいます。SNS、特にnoteにはエモーションを喚起するオピニオンが渦巻いており、気づくと1、‪2時‬間読みふけってしまいます。デジタルデバイスから得る感情は、はるか大昔、図書館で借りた本に没頭したあの時と同じです。

 ツールは変われど、本質は変わらず。世の中は劇的に変化し右往左往してしまいがちですが、根元はほとんど変わらない。そう考えると、なんとなく苦手意識を抱いてしまうSNSやECも“自分ごと化”できるのではないでしょうか?

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