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年1億枚を供給する繊維商社の豊島社長が減益決算で語ったこと

 繊維商社の豊島は9月13日、19年6月期決算を発表した。売上高は前期比1.2%増の2122億円、営業利益は同40.4%減の31億円、経常利益は同31.0%減の43億円、純利益は同19.3%減の33億円だった。売上総利益率は9.6%で、前期に比べ0.8ポイント悪化した。創業が天保12年(1841年)に遡る老舗企業で、年間1億枚のアパレル製品を日本の大手アパレルやSPAに供給する同社は、アパレル業界の大動脈のような存在だ。豊島半七社長の陣頭指揮の下、この数年は独資のCVCファンドを作り、国内外の新興ファッションテックに積極的に出資することで、従来型のアパレルのビジネスモデルの変革を推し進めてきた。日本のアパレル産業はどう変わるのか。決算会見での豊島社長の一問一答から読み解く。

ー19年6月期の結果をどう見る?

豊島半七社長(以下、豊島):4期連続の増収ながら、2期連続の減益。18年6月期までは7期連続で経常利益60億円以上を維持してきたので、かなり不本意な結果だ。日本のアパレル市場は正直言って厳しい。今期以降はそうした前提の上で立て直したい。

ー減益の要因は?

豊島:繊維製品部門が大幅な減益になり、苦戦を強いられた。天候不順に伴う在庫増加、機会ロスなどアパレル市況の厳しさに加え、供給ロットの縮小や原料高などで相対的にコストも上昇した。

ー産業構造の変化にどう対応する?

豊島:その前に、そもそもわれわれはサプライヤーとして一つ一つのブランドにピッタリの提案ができているかを突き詰めないと。生産地を変えてコストを落としましたよ、はやりのサステイナブル製品を持ってきましたよ、と言ってもお取引先が本当に求めていなければ結局は価格競争に陥ってしまう。アパレル市況が厳しいからこそ、ブランド側も価値の再構築やリブランディングを図っているわけで、そこにきちんと当てにされるような製品や存在になっているか。トレンドやコストばかりを打ち出すような従来型のやり方ではうまくいかない。

ー製品別の売上実績ではアパレル製品は前期比3%増の1179億円と、前年を上回っているが。

豊島:アパレルの供給量ベースではほぼ前年並みの約1億枚。販売額が増えているのは大口受注が減る一方で、小口受注が増えているため。その分コストが上昇し、利益を圧迫している。

ー10年以上前からオーガニックコットン「オーガビッツ」などサステイナブル素材の開発に取り組む一方、17年からは独資のCVCを作り、ファッションテックへの投資を積極的に行なってきた。手応えは?

豊島:CVCの出資は合計で海外企業も含め14社になった。出資先の取り決めで公開していないものもあるが、19年6月期にも6社に出資した。業績の数字やイグジットが目的ではなく、既存事業のサポートや連携が目的であり、試行錯誤しながらも(共同開発する)製品化も見えてきた。現在も購買行動予測などのスタートアップ企業への出資を検討しているが、半分は海外企業だ。

ーサステイナブルについては?

豊島:世の中サステイナブルで溢れかえるようになってきた。当社も「オーガビッツ」や「フードテキスタイル」などの素材開発を行っているが、数ばかり多ければいいわけではない。言葉ではなんとでも言えるが、それがSDGsと連携しているのか、社会貢献につながるのか、そして商売になるのか、全社員がそうしたことをきちんと理解したうえでお客さまに提案しないと。改めてこの1〜2カ月で社員への周知を図る予定だ。

―廃棄野菜を使って染める「フードテキスタイル」がテレビなどに取り上げられて話題だが。

豊島:こうした素材ではつきものだが、やはり単価が高くてなかなか大きな商売単位につながりにくい。日本ではメディアにも多く取り上げられているし、海外ではさらに高い評価を頂いている。個人的にも非常にいいものだと思っているが、現在では製品化はノベルティーなどの小さな商売にとどまってしまっている。もっとやれると思っているので、やり方を変える必要がある。

―消費増税の駆け込み需要は?

豊島:われわれへの影響はほとんどない。8%に上がった14年には、そういった駆け込み需要のための在庫の積み込みはあった。今は時代が変わって、余分なものを作らないようになっている。