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攻める老舗商社の豊島、東大に寄付研究部門 次世代ファッションがテーマ

 東京大学 生産技術研究所(以下、東大生研)は10月1日付で、繊維商社の豊島の寄付を元に、野城智也・教授を特任教授にする「豊島ライフスタイル寄付研究部門」を開設した。主にファッション分野を対象に、スマートテキスタイルなどの素材、生活周りのIoT(モノのインターネット化)を含むサービス領域まで、新しい技術の実用化や事業化を目指す。東大生研は工学系の大学の研究機関としては日本最大規模だが、寄付研究はトヨタやリコーなどの電機や機械系がほとんどでファッション関連は非常に珍しい。豊島は東大発ベンチャーでスマートテキスタイルを事業化したゼノマ(Xenoma)にも出資しており、テキスタイルや工学系の最先端の研究機関との連携を加速している。

 豊島ライフスタイル寄付研究部門の設置期間は3年間で、メンバーは野城教授の他、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(Royal College of Art以下、RCA)の前IDE(Innovation Design Engineering)学科長のマイルス・ペニントン(Miles Pennington)教授、尾崎マリサ特任准教授の3人。いずれもイノベーションやデザイン工学分野で日本トップの研究者だ。東大生研は「豊島の支援を得ながら、ファッション業界に加え、医療、介護、健康などライフスタイル全般の市場ニーズを汲み取りながら、幅広い生活分野の“ソサエティ5.0”の技術の種をビジネスに引き上げたい」とコメントしている。なお、寄付の金額については「非公開」という。

 豊島は名古屋を本拠とし、創業は1841年と江戸時代に遡る名門の大手繊維商社で、2018年6月期の売上高は2097億円。創業家出身の豊島半七・社長は陣頭指揮を取る形で、昨年1月に数十億円規模のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を設立し、国内外のファッションテックを対象に出資を行っている。