アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。ヒューマンメイド(HUMAN MADE)が東証グロース市場への上場を発表した。売上高112億円、営業利益31億円(2025年1月期)という高収益体質に加え、想定時価総額は660億円規模とされる。ファッションブランドにとっての上場とは。ブランドの評価額、創業者利益、ロックアップの制約、アドバイザーの株の動き、さらには将来のTOBの可能性など、何がメリットで何がリスクか。近年のファッションIPOを“稀代の商売人”が解説する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月17日号からの抜粋です)
──ヒューマンメイドが東証グロース市場に上場することを発表しました。
本明秀文(以下、本明):EBITDA(≒営業利益+減価償却費)が一般的な評価倍率の17~18倍より高い“20倍以上”の評価が付いているからすごい。上場するには、早くても3年くらいはかかるから前から仕込んでいたんだろうね。そのためにファレルやKAWS、VERDYにも株を渡していたんだと思う。同じような手法は、近年だとよく韓国のファッションブランドがやっている。
──「ヒューマンメイド」のようなインディペンデントなブランドが上場するメリットは?
本明:日本の累進課税は、給料で10億円もらっても約55%が税金で取られてしまう。でも株式なら分離課税で約20%、同じ10億円でも8億円が手元に残る。しかも、一生懸命働いて利益が上がれば、今度は株価も上がる。給料と株とでは全く税金が違うから、貧富の差が激しくなるんだよね。これが創業者利益。
──では、上場するデメリットは?
本明:それ自体にはあまりないよね。今、公募価格(想定価格)が3000円前後と予想されているから、それを買った人が損する可能性はある。創業者のNIGOさんが株を60%ぐらい(NIGOLD43.42%、NIGO®本人19.49%)持っているでしょ。NIGOさんの株は、ロックアップやインサイダー規制で、一度に自由に売れない。会社の内情や業績が分かる役員は、「今年は業績が悪いから、株価が下がる前に株を売っちゃおう」というのも本当はできるわけ。でもそれはインサイダーになるからダメ。だけど、アドバイザーのファレルは全株売る可能性がある。証券会社と相談して、「誰の株を何%出すか」決めるんだけど、最初はNIGOさんの持ち株を20%ぐらい市場に売り出すんじゃない?それをまずは証券会社が自分たちのお客さんに向けて売るから、突然「買いたい」となってもなかなか買えないんだよね。
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