「トゥモローランド」山野邉彩美　選び、作り、届ける現代型バイヤーの肖像【THE BUYER 20】

PROFILE: 山野邉彩美／「トゥモローランド」ウィメンズバイヤー

PROFILE: （やまのべ・あやみ）埼玉県生まれ。大学卒業後にトゥモローランド入社。「トゥモローランド」、「エディション（EDITION）」、「スーパー エー マーケット（SUPER A MARKET）」の店舗スタッフとして勤務し、ディストリビューション業務に従事したのち、アシスタントバイヤーを経て現職 PHOTO : AI OKUBO

トゥモローランド

山野邉彩美は、「トゥモローランド（TOMORROWLAND）」のウィメンズカテゴリーおよびコンセプトショップ「ランド オブ トゥモロー（LAND OF TOMORROW）」のバイヤーとして世界を飛び回る。販売やディストリビューターの経験に裏打ちされた鋭いバイイング感覚、ブランド愛から生まれるツボを押さえた別注企画力、顧客に驚きをもたらす店頭企画の編集力を兼ね備える。若くして大きな責任を任されるのも納得の、ハイスペック・バイヤーだ。（この記事は「WWDJAPAN」2025年9月8日号からの抜粋です）

ディストリビューションで学んだ
ファッションビジネスの“掛け算”

山野邉は、「トゥモローランド」ウィメンズウエアのバイヤーを単独で勤め大きな裁量と責任を背負う。渋谷本店などの大型店ではセレクトとオリジナル商品の割合がおおむね半々だが、それ以外の店舗ではオリジナルの比重が高い。同社はニットメーカーを出自とし、オリジナルにも並々ならぬ熱量を注ぐ。山野邉も企画チームと連動し、オリジナル商品作りにも関わっている。

「トゥモローランド」では、バイヤーが販売員向けにシーズンごとの勉強会を開き、「買い付けの経緯」や「デザイナーの人柄」までを共有する。入社したばかりの頃、販売スタッフだった山野邉は、そこで得た情報を「自分の言葉に置き換えて顧客へ伝える」ことに喜びを感じた。入社2年目に初めて海外出張に同行。膨大なブランドの展示会を回るなかで、デザイナーが目を見て真摯に語りかけてくれる姿に触れ、「この熱量をバイヤーとして届けたい」という思いが芽生えた。「きらびやかなファッションの中に“泥臭い”熱量があった。語られる言葉に耳を傾け、ムードボードをたどった体験は私の原点。本当に刺激的で、ワクワクした」。