メンズウエア市場で支持されるアイテムとは?各業態への取材で見えてきたのは、気候変動という現実的な課題に対して商品ラインナップや投入スケジュールを最適化させつつ、それぞれの視点でトレンドをリアルクローズに落とし込む姿。本記事では、そうした現状を3つのコラム形式で紹介する。第一の視点では、各ブランドが気候の変化に対して具体的にどんな対策を講じているのかを掘り下げる。次に、パリやミラノで見られたトレンドが、日本のメンズ市場ではどのような形で表出しているのか、実例を交えて取り上げる。そして最後に、近年続く短丈ジャケットのトレンドの中、ドレス業態を中心に存在感を増すロングアウター、バルマカーンコートに着目する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月16日号からの抜粋です)
短くなる秋冬
各業態はどんな対策をとっている?
1. 商品カレンダーの見直し
季節の変化にいち早く取り組んできた三陽商会は、今季もMDカレンダーを見直している。例えば「ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」は、中・軽衣料を例年よりも1〜2カ月ほど後ろに倒し、「気候と商品内容を極力合わせていく」。ダウンの分量も再考し、例年よりも2〜3割減らした商品を発売する予定だ。同社は「ベイカー・ストリート(BAKER STREET)」でも、9〜10月は生地の肉感を抑えた短丈のブルゾンなどを強化する。ワールドの「タケオキクチ(TAKEO KIKUCHI)」は、「秋の立ち上がりの商品構成、期間を大きく変えた」。これまで「秋物」と呼んできた商材は後ろに倒し、秋口は冷感素材のアイテムを揃える。「ティーケー タケオキクチ(TK.TAKEO KIKUCHI)」は秋の立ち上がり、「トレンドをしっかり反映した半袖」を強化。
2. 中・軽衣料の強化
メルローズの「コンバース トウキョウ(CONVERSE TOKYO)」は、「レイヤリングによって季節感を演出する」として、中・軽衣料を多くそろえる。例えばライトアウターは裏地を廃し、「過剰な防寒性は抑えつつも、シルエットや素材にこだわることで、季節感やファッション性をしっかり演出」。得意とするスポーツやストリートのムードを表現するためにも、「インナーを変えるだけで長いシーズン着用できる」アイテムとして、トラックジャケットやナイロンブルゾンもプッシュする。同ブランドは、レザーブルゾンを「インナーやレイヤード次第で体温調整が可能」と捉える。アウターがショートへと移行する中で実績を伸ばしている短丈のレザーブルゾンは、各社のイチオシアイテム。一巡したMA-1と比べてエレガントにも楽しめるとの考えも強い。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。