原材料費や人件費の高騰を主因とする値上げにより、ラグジュアリー・ブランドは文字通り“高嶺の花”になっている。そんな中、2008年のリーマンショック直後をほうふつとさせる、ラグジュアリーを補完もしくは代替するかもしれない新興勢力の存在が際立ってきた。“頑張れば買える”価格帯で商品を提供し、「アフォーダブル・ラグジュアリー」や「コンテンポラリー」と呼ばれているブランド群だ。だがキーブランドは、リーマンショック後の10年代とは違う。新アフォーダブル・ラグジュアリー・ブランドとは、一体どんな存在なのだろう?(この記事は「WWDJAPAN」2025年9月1日号からの抜粋です)
これが新アフォーダブル・ラグジュアリーだ!
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1. “頑張って買いたい”価格帯と商品
2. 半年おきに激変しないミニマルなデザイン
3. その中で育むステイプル(定番)なアイテムの存在
4. 顧客のワードローブを少しずつそろえていくような感覚
5. 買い物客の多くは、ラグジュアリーブランドでも購入
6. 創業は2015年前後が多い
7. SNSやホームページのビジュアル、インフルエンサー・マーケティングは内製化の傾向
多くの人にとって“高嶺の花”となってしまったラグジュアリーブランドの停滞は、「エルメス(HERMES)」を除き、直近の決算から見ても明らかだ。例えば数多くのラグジュアリー・ブランドを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)の2025年1~6月期(上半期)決算は、売上高が前年同期比4.5%減の398億1000万ユーロ(約6兆8473億円)。主力のファッション・レザーグッズ部門は同8.0%減の191億1500万ユーロ(約3兆2877億円)で、日本市場は同13.8%減の32億4900万ユーロ(約5588億円)と2ケタ減となった。
この期間の百貨店の特選売り場を取材した「WWDJAPAN」のビジネスリポート(定期購読者を対象とした8月25日号付録)によると、24年下半期までは好調だったものの、今年に入って前年割れに転じた百貨店は少なくない。主因は円高基調によるインバウンドの減少だが、一方の日本人客は昨年の今頃から「値上げ疲れ」が問題だった。日本人客、特に中間層の売り上げが停滞を続ける中、頼みの綱だったインバウンドも失速し、いよいよ前年割れに陥ったのが、今の日本のラグジュアリー業界と言えるだろう。
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