ファッション
連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第205回

建築界は気付いていないかもしれない、ファッション&ビューティ業界の当たり前

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昨年もお話しましたが先日、日本空間デザイン賞の審査員を務めさせていただきました。審査員は建築、空間デザイン、プロダクトデザインなどのスペシャリスト。私は完全アウェイな気もしますが(苦笑。特に住空間の審査は、なかなか難しいのですw)、日本空間デザイン賞はリテール空間やショーウインドーなども称え、このカテゴリーには以前から資生堂や和光、スノーピークやアークテリクスが参加しています。おそらく、こうしたジャンルと応募社があるからこそ、私のような人間が審査員に起用されているのでしょう。経営層の皆さん、来年はぜひ、この賞に応募してみませんか(笑)?

建築や空間デザインに関する知識を持ち合わせていない私は、「体験価値」を一番の判断基準として、この最終審査に参加させていただいています。もちろん、全ての商空間や公共施設、パビリオンなどを訪れることは不可能です。ゆえに「この空間を訪れた人は、どんな気持ちになるのかな?」や「どんな体験を提供すべく、この空間は、こんなデザインになっているんだろう?」を想像していくワケです。「どんな体験を提供すべく」を考えるには、その空間に詰め込んでいるだろうアティチュードや、その空間で提供するのだろうコンテンツにさえ思いを馳せることが不可欠です。つまり私は、建築や空間デザインに関する知識がないからこそ、こうしたハードではなく、ソフトに傾倒して審査しているのだろうと思います。ゆえに他の審査員の皆さんと見解が分かれることは、しばしばです。でも、それが良いのだと思っています(笑)。

おそらくファッションやビューティ業界の皆さんは私同様、ハードではなく、ソフトに傾倒して建築や空間デザインを考えていることでしょう。「体験」や「想い」「自信」「象徴」……、最終審査の最中に私が口にした言葉は、他の審査員の皆さんからはなかなか出てこないものだったかもしれませんが、例えば旗艦店のオープンに際して経営トップやクリエイティブ・ディレクターに話を聞けば、おそらく必ず出てくるフレーズばかりです。つまりこれは、私たちのアドバンテージではないか?と思うワケ。今別件でマーケティングの教授ともコミュニケーションを交わしていますが、顧客体験をもとにOMOを設計するのは、やはりファッションやビューティの得意技だと誉めていただきます。「こんなことを実現したいんだ」や「こんな気持ちになって帰っていただきたいんだ」を建築家に相談するのが、私たちと建築界のベストなコラボレーションなんでしょうね。

OMOと言えば、日本空間デザイン賞はまだまだリアルを対象にしたアワードです。この領域は私も勉強不足ですが、ARやMR、XRなど、リアル空間を拡張するようなデジタル発想は、今なお垣間見えません。もしかすると、ここも我々のアドバンテージになるかもしれませんね。最近我々の世界では、リアルとデジタルが融合したイベントが登場したり、リアルの制約から解放されつつも本質は継承したデジタル戦略が生まれたり、DXを進めた上で本質的な価値をリアル空間で体現したりが始まっています。トライ&エラーを繰り返していけば、いつの日か建築や空間デザインの皆さんにまた「さすがですね」と言っていただけるのかもしれません。その意味でもぜひ、下のセミナーへのご参加をお待ちしています。本日まで早割でお申し込みいただけます(笑)。

他の審査員の皆さんと違う視点は、まだまだたくさんありました。IPの価値も、その1つです。異業種の方と触れ合うと、改めて自分達の長所や短所に気付けますね。

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