ファッション

「カルバン・クライン」グローバルトップに聞くアジア初の原宿旗艦店と日本市場のコト

カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」は8月29日、東京・原宿にアジア初となるグローバル旗艦店をオープンする。地上3層、約1315平方メートルの空間には、アパレルからアンダーウエア、アクセサリー、フレグランスまで、ブランドの全カテゴリーを集積。昨年6月に開業したパリ旗艦店や、間もなくオープン予定のニューヨーク店と並び、グローバル戦略における重要なマイルストーンとなる。原宿店のオープンを前に来日したデヴィッド・サヴマン(David Savman)グローバルプレジデントに、ブランドのグローバル戦略とアジア戦略、その中での日本市場や原宿旗艦店の役割について聞いた。

WWD:まずグローバルビジネスの概況に加えて、影響力のあったキャンペーンや人気商品について教えてほしい。

デヴィッド・サヴマン カルバン・クライン グローバルプレジデント(以下、デヴィッド):デニム、アンダーウエア、アパレル、アクセサリーを含むライフスタイル製品は、世界中で広く支持されている。特にアンダーウエアとデニムはグローバル売り上げの大きな柱であり、「カルバン・クライン」はアンダーウエア市場のリーダーとして、イノベーションを通じてその地位をさらに強化している。

今春夏のキャンペーンでは、グローバルアーティストのBad Bunnyが新商品の“アイコン・コットン・ストレッチ”を着用した。ビジュアルはブランドの力強さを示すと同時に、カルチャーに浸透しながら商業的影響力を発揮する能力を明確に示した。デニムでも消費者との結び付きを強めており、とりわけ新しいデニムのイノベーションに注力している。さらにロゴTシャツ、アウターウエア、ラウンジウエアといったアイコニックな商品群も、消費者との強いつながりを築いている。

WWD:ブランドの強みをどう捉えているか。

デヴィッド:「カルバン・クライン」は非常に高い認知度を誇り、創業以来カルチャーの最前線に立ち続けてきた。コアブランド資産は地域を問わず消費者に認識されており、それ自体が強力な価値である。真の強みは、アイコニックなマーケティングを活かし、最新の製品ラインで市場に存在感を発揮できる点にある。

下着、デニム、アパレルの分野で影響力を維持しながら、イノベーションを重ねて現代的に解釈したアイコン商品を提示し、市場と文化的議論の両面で関連性を保ち続けることに注力している。

WWD:ヴェロニカ・レオーニ新クリエイティブ・ディレクターによって、コレクションラインが再びランウェイに戻った。メインラインのブランディングへの影響はあるか?

デヴィッド:「カルバン・クライン コレクション(CALVIN KLEIN COLLECTION)」はブランドの頂点を象徴する存在だ。独立したブランドではなく、「カルバン・クライン」の理念を最高峰で体現したもの。下着やジーンズ、スポーツウエア、シューズ、アクセサリーまで、すべてとシームレスに結びついている。新たに別のストーリーをつくるのではなく、ラグジュアリーコレクションの「ハロ(HALO)」とともに、そのトーンを確立する役割を担っている。

WWD:アジア初の旗艦店を東京に構えた理由は?

デヴィッド:東京は世界的にも象徴的なファッション都市であり、ローカルとグローバル双方にとって重要な拠点だ。「カルバン・クライン」も日本市場で継続的に成長してきた。その中心である原宿に、ブランドの本質を最も純粋に表現したアジア初の旗艦店を開くのは自然な流れだった。この空間はブランドの真髄を体現するものだ。

今回の旗艦店は戦略的に極めて重要な一歩である。ブランドらしいライフスタイル提案を全面的に打ち出せる理想的な立地を確保できた。特に、デニムコレクションを本格的に展開するスペースを設けられたこと、さらに9月に控える「カルバン・クライン コレクション」次期コレクション発表の場としても機能する点は大きい。

WWD:原宿旗艦店の空間設計でのこだわりや、来店客に体験してほしいことは?

デヴィッド:原宿の旗艦店は、世界で展開するライフスタイルストアの中でも最大規模である。立地に合わせて設計・開発した店舗デザインを採用し、日本の芸術的要素も取り入れている。究極の小売体験を提供することを目標に掲げ、特別なコレクション発売や消費者イベントに活用できるアクティベーションスペースを設けた。ブランドへの愛着や忠誠心をさらに高めてもらいたい。

WWD:日本市場での人気商品や顧客ニーズの傾向は?

デヴィッド:今年前半は、Bad BunnyやSEVENTEENのミンギュを起用したキャンペーン、過去のBLACKPINKジェニーやBTSジョングクを起用したアンバサダー施策が、日本市場で質の高いエンゲージメントを生み出した。特にアンダーウエア、デニム、ロゴTシャツの組み合わせは、日本の若年層から強い共感を得ている。ブランドのデニムにおける歴史的背景を活かし、日本のデニム市場でさらなる成長機会を見出している。また「カルバン・クライン コレクション」の復活によって、よりファッション的な結び付きを高められるだろう。

WWD:日本市場での中長期的な目標は?

デヴィッド:「カルバン・クライン」を世界でも最も魅力的なブランドの一つに成長させる戦略を、継続的に実行していく。イノベーションを重ね、アイコン商品を現代の消費者に合う形で提示し、セクシーさを備えたエッセンシャルなワードローブを提供し続ける。そしてそのライフスタイルを世界中の消費者に届けていく。原宿旗艦店は、そのための重要な第一歩だ。今後は日本国内でも主要都市に焦点を当て、デジタルとフィジカルをシームレスに融合させた体験を提供する。今年中には神戸にも大型ライフスタイルストアを新たにオープンする予定だ。これにより、日本市場における自信とライフスタイル提案への確信を、さらに強固なものにしていく。

WWD:グローバルでの今後の出店戦略は?

デヴィッド:出店拡大を続けながら、消費者をブランドの世界へ導く、より高次の体験を提供したい。パリのフラッグシップストアでは先日、1周年を記念するイベントを開催した。今年後半にはニューヨーク・ソーホーに新店舗を開業予定だ。これら旗艦店の目的は、グローバルな消費者にブランドの本質を最も純粋な形で伝えること。「カルバン・クライン」のライフスタイルとファッションカルチャーが融合する空間を提供する場となる。

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