ユニクロはインナーとラウンジウエアを同じテイストでデザインし、ミックスコーディネートを楽しむコレクションを2026-27年秋冬商品として発売した。最大の特徴は、これまで単品展開していたインナーとラウンジウエアに横軸を通して共通の素材・色柄で展開し、カテゴリーを超えてミックス&マッチの着こなしができること。売り場も単品集積型からコーディネート提案型にし、ビジュアルを多く掲示するなどして新しさを出す。発売して間もないが、すでに従来に比べると10代・20代の客が購入する姿が多く見られ、同時期に発売した海外でもSNSの投稿が相次ぐなど新提案の効果が見え始めている。
クレア・ワイト・ケラーが全面監修
同コレクションは「エフォートレス・チャーム」と「ミニマリスト・クラシック」の2つのコンセプトを軸に構成されている。「エフォートレス・チャーム」は、レーヨンと綿をミックスした柔らかい素材などに小花柄やボーダーなどのプリントをのせたコレクション、「ミニマリスト・クラシック」は機能性と快適性を追求したベーシックアイテム中心のコレクションとなっている。ともにブラジャー、ショーツ、タンクトップ、パンツ、などを統一感を持たせて展開する。
ユニクロ クリエイティブ・ディレクターのクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)氏がコンセプト立案から入り、素材、スタイリング、ビジュアル制作、売り場作りに至るまで関わっている。クレアクリエイティブ・ディレクターはこれまでも商品監修に携わっていたものの、ラウンジウエアとインナーカテゴリーにここまで一貫して関わるのは初めて。ビジュアル制作はモデルや撮影場所の選定にまで担い、撮影にも本人が立ち会う力の入れようだ。
足りなかったエモーショナルな要素
ユニクロの炬口佳乃子グローバル商品本部ウィメンズMD部長は「お客さまの着こなしは、インナーを重ね着したりラウンジウエアを日常着として着用したりなど、どんどんボーダーレス化している。単品の積み上げではなく、組み合わせたときにどのような相乗効果が出るかを念頭においてコレクションを組んでいった」と語る。
一方で、グローバル展開の課題に応える意味もあったと言う。「海外ではわれわれの存在はまだ小さい。その中でインナー・ラウンジウエアは購入頻度や汎用性の高い商品としてロイヤルカスタマーを作るという課題があった。欧米を中心とした海外のお客さまは、昔からインナーを見せたりレイヤードしたりした着こなしを当たり前にしている。情報がボーダーレスになっている今、韓国や東南アジアも同様だ。ユニクロのラウンジウエア、インナーも世界の感度に合わせ、グローバルなお客さまにもっと支持されるアプローチをするときだと思った」。
クレア氏からは、「ユニクロは機能性やクオリティーに優れているが、エモーショナルな部分が足りていない」との意見があった。そこからコンセプト立案、イメージのすり合わせが始まり、ゼロから作り上げていった。
企画を進める過程ではクレア氏を中心とする海外のチームと日本チームがミーティングを重ね、それぞれの家族も含め、日常の中で何を着るか何を重視して選ぶかなどライフスタイルやプライベートなワードローブについて深く話し合った。炬口MD部長は「これまで家の中での服装は実際に見る機会がないため想像するしかなかったが、海外で暮らす女性のリアルな声を聞く過程が勉強になり、知識も深まった」と振り返る。
コーディネート力や編集力で魅せる売り場作りに挑戦
新たな挑戦は売り場作りも同様だ。単品集積が基本の従来の売り場から、インナーとラウンジウエアをボーダーレスに楽しめる売り場へ刷新し、カテゴリーの枠を超えた着こなしを提案する。ユニクロ銀座店6階フロアではその世界観を象徴する売り場を設け、曲線を取り入れた什器を導入し温かみのある白を基調とした空間デザインで統一した。世界観を表現するビジュアルを多く掲示しているのも、同コレクション売り場の特徴だ。
基本となるフォーマットはあるものの、日々の在庫変動などでイレギュラーなことも起きるため、売り場作りには臨機応変に対応する現場の編集力が問われる。「世界2000店舗がコンセプトに沿った売り場を表現する必要がある。そのために本部も並走しながら作り上げている」と炬口MD部長。
ビジュアルで起用したモデルも若く、若年層をターゲットに絞っているように感じるが、「若い方にアプローチしたかったというのはあるが、若い方しか選ばないものにはしたくなかった。女性は年齢に関係なくインナーやラウンジウエアは可愛いものを着たいという感覚がある。今コレクションはエモーショナルな感覚は大切にしつつ、幅広い年齢層に受け入れられるよう肌に優しく寄り添う素材の選定にはこだわった」。
グローバルでの実績が重要なのはもちろんだが、「ユニクロにとって日本のお客さまはとても大事。毎シーズン、喜んでいただける仕掛けや提案を続けていく」と締めくくった。